The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

胎児心臓病学

デジタルオーラル(II)09(P09)
胎児心臓病学1

指定討論者:桑原 尚志(岐阜県総合医療センター 小児医療センター)

[P09-1] 周産期一次医療機関における先天性心疾患スクリーニングの現状

加藤 義弘 (医療法人葵鐘会 小児科)

Keywords:胎児心エコー, スクリーニング, パルスオキシメータースクリーニング

【背景】周産期一次医療機関として、胎児エコー、新生児には診察とパルスオキシメーター(PO)を用いた先天性心疾患(CHD)スクリーニングを行なっている。【目的】当医療法人におけるCHDのスクリーニングの現状を明らかにする。【方法】5カ所のクリニックにて2010年12月1日から2019年12月31日までに出生した25,334名の新生児とその期間に胎児エコーにて抽出され、専門医療機関にてCHDと診断された症例を対象とした。胎児診断例は紹介先からの返信病名を、新生児例では自院で診断した場合はその診断名、紹介先病院にて診断された場合は返信病名を用いた。【結果】胎児エコーにて抽出されCHDと診断されたのは28例であった。左心低形成症候群が5例、内臓心房錯位症候群が5例、房室中隔欠損(AVSD)が4例、両大血管右室起始(DORV)が3例、肺動脈閉鎖(PA)が4例、ファロー四徴(TF)が2例、大動脈縮窄(CoA)、三尖弁閉鎖、完全大血管転位(TGA)、静脈管欠損、総動脈管症が各1例であった。出生後にCHDと診断された例は205名で出生児全体の0.8%であった。心室中隔欠損(VSD)が159例、肺動脈弁狭窄が11例、動脈管開存が9例、総肺静脈還流異常(TAPVC)、DORV、大動脈弁狭窄が各4例、心房中隔欠損が3例、CoA、大動脈弓離断(IAA)が各2例、大動脈肺動脈窓、修正大血管転位、PA、TGA、Taussig-Bing奇形、TF、AVSDが各1例であった。CoA、IAAの4例中3例でPOスクリーニングは偽陰性であった。【考察】TAPVCを除く多くの重症CHDは胎児エコーにて抽出されていた。新生児にて心雑音を指摘されたものの多くはVSDであった。POスクリーニングは偽陰性が多く課題が残る。【結論】さらに症例を重ね、より良い周産期CHDスクリーニングを目指したい。