The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

デジタルオーラル

複雑心奇形

デジタルオーラル(II)11(P11)
複雑心奇形1

指定討論者:大月 審一(岡山大学病院 小児循環器科)

[P11-1] 12歳から治療介入を開始したファロー四徴症の1例

伊藤 諒一1,2, 山田 祐也1,2, 鈴木 孝典1,2, 森本 美仁1,2, 郷 清貴1,2, 鬼頭 真知子1,2, 森鼻 英治2, 河井 悟1, 安田 和志1 (1.あいち小児保健医療総合センター 循環器科, 2.あいち小児保健医療総合センター 新生児科)

Keywords:未手術, BTシャント術, 低形成左室

【症例】12歳男児.フィリピンで出生し,生後6ヶ月でチアノーゼを指摘されPA/VSDと診断された.費用の問題で手術は受けず,プロプラノロールの内服のみを行っていた.両親の就労のため日本に移住し,その後治療を希望され当センターを受診した.【診断・治療】初診時の心エコーではごく僅かな肺への順行性血流を認めsevere TOFと診断した.心カテでもLVEDV 51.3ml(59% of normal) ,RVEDV 59.8ml(66% of normal)と両心室は縮小し,肺血流の大部分はAPCAにより維持されていた.当初二心室修復は困難と考えられたが,BTシャント術を施行し2ヶ月後にはLVEDV 96.1ml(100% of normal) ,RVEDV 85.8ml(99% of normal)と両心室の容量は著明に改善し,O2 satも90.5%まで上昇した.PA indexは215mm2/m2,肺血管抵抗値RpIは1.16WU・m2であった.二心室修復を見据え,バルーン肺動脈弁形成術(BVP)およびAPCAに対するコイル塞栓術を行った後,初回手術から8ヶ月後に自己肺動脈弁輪温存での心内修復術を行った.【術後経過】心内修復術後5ヶ月時の心カテではLVEDV 159.0ml(134% of normal),RVEDV 94.2ml(76% of Normal, EDVI 66ml/m2),RVP/LVP比 0.50,O2 sat 96.0%であった.左室は拡大しLVEDPも13mmHgと高めであり,残存APCAに対するコイル塞栓術を追加で施行した.元々は車椅子生活であったADLは術後半年で独歩可能なまでに改善した.【結語】12歳まで無治療のsevereTOFであったが,BTシャント術,BVPにより中心肺動脈および左室容量の成長が得られた.急速な左室全負荷増大に対しては内科的心不全治療に加えてAPCAによるのコイル塞栓術を反復することで対処可能であった.