The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

複雑心奇形

デジタルオーラル(II)12(P12)
複雑心奇形2

指定討論者:森 善樹(国際医療福祉大学 / 山王病院 小児科)

[P12-1] 肺血流減少型単心室に対する体肺シャント術の治療戦略

寺師 英子, 倉岡 彩子, 児玉 祥彦, 石川 友一, 中村 真, 佐川 浩一 (福岡市立こども病院 循環器科)

Keywords:シャント, 単心室, PAI

【背景】肺血流減少型単心室における体肺シャントでは適切な肺血流調整に難渋することも多い。当院では体重に合わせたサイズのセントラルシャント(CS)が多く、過大な肺血流に対してはclipを用いた調整の後にバルーン拡張(BAP)を行う症例もある。【目的】単心室疾患に対するシャントサイズとその後の治療介入による両方向性Glenn手術(BDG)時の肺血管の発育や房室弁逆流(AVVR)への影響について検討する。【対象と方法】2009年~2018年に入院した肺血流減少型単心室105例のうち、初回治療としてCSを施行しBDGに到達した77例(シャント追加などの外科的介入症例は除外)を対象とし、CS前とBDG前のカテーテル検査・CTにおける肺動脈断面積係数(PAI)とエコーにおけるAVVRを比較した。また、clipへのBAP症例では拡張前後のPAI・AVVR・SpO2を比較した。【結果】診断は右室型単心室27例・左室型単心室50例、手術時日齢は平均45.8±29.1日、体重は3.44±0.64kgだった。シャントサイズは平均3.79±0.37mm(3mm 6例・3.5mm 24例・4mm 45例・5mm 2例)でclip使用は28例(3mm 1例・3.5mm 10例・4mm 15例・5mm 2例)でそのうちBAPを5例に施行した。体重あたりのサイズとPAIの成長には明らかな相関はなかった(p=0.467)が、サイズが小さいほどBDG時のSpO2が有意に低く(p=0.035)、大きいほどCS後のAVVRが増加した(p=0.0027)。clip症例の中でBAPを行った5例においては、BAPなしの症例よりも、カテーテル時と比較してBDG時のPAIが増大する傾向にあり(+21.0 vs -30.5 p=0.09)、SpO2低下が有意に少なく(+1.8% vs -3.6% p=0.0006)、BAP後のAVVRの増悪はみられなかった。【結論】単心室循環に必要な肺血管の成長とAVVR悪化予防のために、クリップでの血流調整と計画的BAPが有用な可能性がある。