[P12-6] 発達した門脈-奇静脈-肝静脈結合によってチアノーゼをきたした内臓錯位症候群の1例
Keywords:門脈, 内臓錯位症候群, 側副血行路
【はじめに】内臓錯位症候群におけるチアノーゼの原因として肺動静脈瘻の合併がよく知られているが, 腹部血管の異常結合に留意することも重要である.
【症例】7歳男児. 左側相同症. 胎児期に右室型単心室症, 下大静脈欠損・奇静脈接合, 両側上大静脈, 肺動脈狭窄と診断された. 1歳2ヶ月時にKawashima手術を実施され, 経皮動脈血酸素飽和度(以下SpO2)は90%に上昇した. 手術1週間後に肺炎を契機に呼吸不全となり, 全身状態改善後もSpO2は80%から上昇しなくなった. 心臓カテーテル検査で上大静脈血が奇静脈を逆流して腹部に下降し, 発達した奇静脈―門脈側副血行 (Veno-Venous Collaterals, 以下VVC)を介して肝静脈へ流入していた. このVVCをAMPLATZER Vascular Plug (以下AVP)で塞栓し, 順行性のKawashima循環に復しSpO2は88%に上昇した. 5歳時にFontan手術に到達. 術後徐々にSpO2が低下した. 心臓カテーテル検査では肝静脈-Fontan導管吻合部の強い狭窄と, 肝内肝静脈から心房内へ流入する大きなVVCが確認された. 狭窄部にステント拡張術を行ったが体静脈血は導管から肝臓方向に流れ, 肺血流は低下, VVC血流は増加しSpO2は更に低下した. VVCにAVP塞栓術を行うと順行性の導管血流が得られ, SpO2 は80%から95%に上昇した.
【考察】本症例ではKawashima術後およびFontan術後それぞれに強いチアノーゼを来たし, 原因は腹部血管の異常によるVVCの発達であり, 肺動静脈瘻は認められなかった. 内臓錯位症候群では本症例のように門脈―奇静脈―肝静脈の異常結合が, 術後の静脈圧上昇を契機に発達して症候化する場合がある. 門脈と体静脈の異常な結合だが, 先天性門脈体循環シャントとは血流の方向が逆であり, 別の病態として考える必要がある.
【結語】内臓錯位症候群におけるチアノーゼの原因として腹部血管の異常結合を診断し, その治療としてAVPによる塞栓術が有効だった.
【症例】7歳男児. 左側相同症. 胎児期に右室型単心室症, 下大静脈欠損・奇静脈接合, 両側上大静脈, 肺動脈狭窄と診断された. 1歳2ヶ月時にKawashima手術を実施され, 経皮動脈血酸素飽和度(以下SpO2)は90%に上昇した. 手術1週間後に肺炎を契機に呼吸不全となり, 全身状態改善後もSpO2は80%から上昇しなくなった. 心臓カテーテル検査で上大静脈血が奇静脈を逆流して腹部に下降し, 発達した奇静脈―門脈側副血行 (Veno-Venous Collaterals, 以下VVC)を介して肝静脈へ流入していた. このVVCをAMPLATZER Vascular Plug (以下AVP)で塞栓し, 順行性のKawashima循環に復しSpO2は88%に上昇した. 5歳時にFontan手術に到達. 術後徐々にSpO2が低下した. 心臓カテーテル検査では肝静脈-Fontan導管吻合部の強い狭窄と, 肝内肝静脈から心房内へ流入する大きなVVCが確認された. 狭窄部にステント拡張術を行ったが体静脈血は導管から肝臓方向に流れ, 肺血流は低下, VVC血流は増加しSpO2は更に低下した. VVCにAVP塞栓術を行うと順行性の導管血流が得られ, SpO2 は80%から95%に上昇した.
【考察】本症例ではKawashima術後およびFontan術後それぞれに強いチアノーゼを来たし, 原因は腹部血管の異常によるVVCの発達であり, 肺動静脈瘻は認められなかった. 内臓錯位症候群では本症例のように門脈―奇静脈―肝静脈の異常結合が, 術後の静脈圧上昇を契機に発達して症候化する場合がある. 門脈と体静脈の異常な結合だが, 先天性門脈体循環シャントとは血流の方向が逆であり, 別の病態として考える必要がある.
【結語】内臓錯位症候群におけるチアノーゼの原因として腹部血管の異常結合を診断し, その治療としてAVPによる塞栓術が有効だった.