[P13-1] 佐賀県内における新生児SpO2スクリーニング 第1報
Keywords:重症先天性心疾患, SPO2スクリーニング, 新生児搬送
【背景】本邦における重症先天性心疾患(cCHD)検出を目的とした出生後SpO2スクリーニングの普及はまだ一般的とはいえず、当県内でも出生後にSpO2を測定していない施設が散見され過去の検討ではショック状態で搬送される症例が存在していた。今回我々は佐賀県産婦人科医会と連携し、2019年4月より一次産院SpO2スクリーニングを開始した。【対象と方法】2019年4月から2019年12月までに、当県内の一次産院で出生した新生児に対してSpO2スクリーニングを実施し、当院NICUに新生児搬送となった8例を対象とした。出生後に右上肢、日齢1・2に右下肢でのSpO2を測定し、いずれかのSpO2<90%、右下肢SpO2<95%の場合は上肢も測定し上下肢差>3%の場合をスクリーニング陽性とした。診療録を用いて患者背景、転帰について検討した。【結果】週数39週(36-42)、出生体重3043g(2382-3390)。Apgar scoreは全例7点以上で新生児仮死なし。搬送日齢は日齢0が5例(63%)。3例(38%)でcCHD(TA、TAPVC、TGA)と診断した。呼吸障害による人工呼吸管理例が1例存在したがショックに至った例はなかった。他PPHN2例、新生児感染症2例、正常新生児1例で5例を偽陽性と判断した。【考察】開始して日が浅く症例数は少ないが、cCHD例に対しショック前に診断でき良好な転帰をたどった。また、偽陽性症例においてもPPHNや新生児感染症など治療介入を要した症例であり、本スクリーニングが周産期異常を伴う新生児の検出も担っていると思われた。一方で、一次産院でスクリーニングを行うにあたり手技・機器の不統一性、コストの負担、搬送手段や時期、産院での酸素投与の是非などの問題も明らかになりつつある。より精度の高いスクリーニングを行うためにも症例の蓄積と更なる検討が必要である。