[P13-3] 心房間交通狭小化を伴う左心低形成症候群における中長期的な肺動脈圧の推移
Keywords:左心低形成症候群, 卵円孔, フォンタン手術
【背景】左心低形成症候群(HLHS)において、心房間交通狭小化(restrictive atrial septum: RAS)を伴う症例では死亡率が高く、Fontan手術(F術)到達率は低い。一方、中長期予後には差がないとの報告もある。【目的】HLHSにおけるRASの肺循環への経時的な影響を明らかにする。【方法】2008年1月から2019年12月に当院でHLHSの診断で心臓カテーテル検査を行われた症例を後方視的に検討した。RASを有する群(R群, n=35)と有さない群(N群, n=93)に分類し、Glenn術後安定期(G術)及びF術後安定期のカテーテル検査データを比較した。RASの明確な基準はなく、2015年以前はエコーでの心房間血流速度2m/s以上や肺静脈血流パターンが参考にされることが多く、2015年以降はTaketazu分類B、Cとした。【結果】F術到達率はR群46%、N群56%であった。G術後にカテーテル検査を行ったのはR群、N群の順に16例(46%)、52例(56%)、F術後は13例(37%)、33例(36%)であった。それぞれの検査時年齢は順に3.4±1.7歳、2.2±1.4歳(p=0.01)、4.1±1.8歳、4.3±1.7歳(p=0.58)であった。G術後の平均圧(mmHg)はR群、N群の順にSVC 12.1±3.1、10.2±2.2(p=0.74)、LPA 8.4±3.5、8.7±3.5(p=0.77)、RPA 8.5±2.6、6.2±3.6(p=0.01)、F術後の平均圧(mmHg)はR群、N群の順にSVC 12.1±3.1、10.2±2.1(p=0.04)、LPA 10.3±3.5、7.6±1.6(p=0.003)、RPA 10.5±3.4、8.5±2.1(p=0.04)であった。R群において、胎児診断例は24例(69%)で、その有無による肺動脈圧の差はなかった。【考察】R群のF術到達率は低く、F術後の肺動脈圧は高値であり、胎生期の肺血管障害の関与が考えられた。【結論】HLHSにおいて、RASはF術後の肺循環にも影響する。