[P13-5] 左室大動脈トンネルの臨床経過
Keywords:Aortico-Left ventricular tunnel, AR, 冠動脈
【背景】大動脈左室トンネル(Aortico-left ventricular tunnel:ALVT)は全先天性心疾患の0.1%未満と報告されている稀な疾患である。【目的】当院で経験したALVT3例の経過を後方視的に検討し、その臨床像を明らかにする。【症例1】在胎26週の胎児心エコーにて心拡大、大動脈閉鎖不全(AR)を指摘され紹介。ALVTの診断。胎児心不全の増悪なく経過。在胎36週5日、体重2796g、予定帝王切開。Tunnelは右valsalva洞の直上から起始し、右冠尖直下の中隔に開口。日齢1でトンネル閉鎖術施行。【症例2】大動脈二尖弁、ARの診断で経過観察。当院紹介後心エコーにてALVTと診断される。CTでTunnelの大動脈側は二尖弁の前方の交連部直上の右冠動脈起始部近傍から起始し、左室側は前方の交連部直下の中隔に開口。13歳時の検査では心胸比49%で、心不全症状なし。【症例3】ASRの診断で経過観察。3歳時に心拡大で当院受診。Tunnelは右valsalva洞の直上から起始し、右冠尖直下の中隔に開口。3歳時にトンネル閉鎖術施行。その後ARが増悪し、10歳時で大動脈弁置換術、14歳時に上行大動脈瘤に対し人工血管置換術を施行。現在外来経過観察中。全ての症例でALVTの大動脈側の開口部は右valsalva洞あるいは右冠動脈近傍であり、左室側は左室中隔面に開口していた。当初全例でARと診断されていた。心不全の発症時期は様々であった。【結語】tunnelの流入部、開口部の部位によらず、胎児期に心不全を呈するものから無症状のものまで様々な経過を認めた。