The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

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デジタルオーラル(II)16(P16)
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指定討論者:瀧聞 浄宏(長野県立こども病院 循環器小児科)

[P16-3] 総合病院での心臓MRIへの小児循環器医の関わり

野崎 良寛1, 矢野 悠介1, 嶋 侑里子1, 石踊 巧1, 村上 卓1, 高橋 実穂1, 川松 直人2, 町野 智子2, 石津 智子2, 堀米 仁志1 (1.筑波大学 医学医療系 小児科, 2.筑波大学 医学医療系 循環器内科)

Keywords:心臓MRI, 成人先天性心疾患, 検査体制

【背景・目的】心臓イメージングの中でも心臓MR(CMR)は単に形態評価のみならず、心筋性状、血行動態評価にも有用なモダリティである。血行動態評価は十分に理解して撮影に望む必要があり、当院では2016年度より小児循環器医が同席して撮影し、機能解析は小児循環器医が実施するという検査体制にした。成人先天性心疾患診療も行う総合病院である当院でのCMR撮影の実績を検証し課題を抽出する。【方法】2016年4月から2020年1月までに、小児循環器医が関わったCMR実施例について診療録から後方視的に、年齢、性別、適応疾患、CMR結果などを抽出した。【結果】379件のCMRのうち、虚血性心疾患や成人心筋症を除く184件に小児循環器医が関与していた。血行動態解析を要する先天性疾患や弁膜症が175件(159症例)とほとんどを占めており、小児の心筋症(5件)、心室細動生存者(3件)、川崎病遠隔期(1件)は少数であった。患者年齢の中央値は25.9歳[IQR 20.5-41.1歳]と15歳未満は9件のみであった。先天性心疾患術後症例が79例、術前例が39例、体心室右室が12例、単心室循環が9例、弁膜症が15例であった。すべての症例が当院で初めて心臓MRIを受けていた。ファロー四徴症(60例)では右室EDViが150mL/m2超が9例(平均37.0±14.7歳)で、150mL/m2未満(27.4±10.8歳)と比較して肺動脈逆流分画(47±18.9% vs 30±13.8%)が大きかった。【考察】当院では鎮静を自科で行わねばならず、長時間の鎮静を要す心臓MRIは若年例ではほとんど実施できていなかった。ファロー四徴症の術後でも多くの患者が小児期無症状のため精査に回っていない状況が推察された。一方、CMRで著明な右室拡大が初めて明らかになった例もある。肺動脈弁逆流は右室拡大のリスクと知られているが、理想的な評価タイミングは確立していない。【結語】長期予後が改善した現在、ライフステージを考慮した介入が必要であり、適切な評価ストラテジーの構築が望まれる。