[P17-3] 小児先天性心疾患における上大静脈/下大静脈血流比の年齢変化―MRI-QFlowによる検討
Keywords:上大静脈/下大静脈比, MRI, CHD
【背景】小児先天性心疾患(CHD)症例において、発達に伴う血流分布の変化の理解は、その血行動態の評価をする上で非常に重要である。【目的】MRIのPhase contrast法(QFlow)を用いて、CHD症例において上大静脈と下大静脈血流比(QSVC/QIVC)が年齢とともにどのように変化するかについて検討すること【対象】2014年から2019年までにCHDでMRI-QFlowにより血流定量解析を行った61例の内、Q flowで上行大動脈と主肺動脈の血流量の明らかな差がある11例を除外した50例(0歳2カ月~42歳:中央値14.9歳、体表面積:0.19m2~2.31m2:中央値1.44m2)を対象とした。疾患は術前短絡症例9例、二心室修復術後症例38例、Fontan循環症例3例である。【方法】通常のCHDフォローアップ時のMRI検査でQFlow(Phase contrast法)を用いて任意の部位の血流量を測定した(上大静脈(QSVC)、下大静脈(QIVC)、上行大動脈(QAAO)、主肺動脈(QMPA)。測定値は体表面積で補正し年齢変化を求めた。下大静脈を測定していない症例に関しては、推定下大静脈血流量としてQAAo-Qsvcを用いた。【結果】全症例の上大静脈/下大静脈血流比は(0.31―1.76 :中央値0.84)であった。上大静脈の血流量は経年的に減少する傾向があり(r=-0.13, p=0.38)、下大静脈の血流量は経年的に有意に増加した(r=0.44, p<0.01*)ため、上大静脈/下大静脈血流比は経年的に有意に減少した(r=-0.55, p<0.01*)。 【まとめ】CHD症例では、上大静脈/下大静脈血流比は経年的に減少した。体の発育に伴う頭身比の変化が一因であると考えられるが、カテーテル検査等での血行動態把握時には年齢による血流比に留意して解釈する事が必要である。