The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

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デジタルオーラル(II)17(P17)
画像診断4

指定討論者:岡本 吉生(香川県立中央病院 小児科)

[P17-4] 冠動脈瘻の評価における320列CTの使用経験

堀口 泰典1, 鈴木 淳子2 (1.国際医療福祉大学 熱海病院 小児科, 2.東京逓信病院 小児科)

Keywords:冠動脈瘻, 320列CTスキャナー, non-helical scan

(目的)心エコー図検査で主肺動脈(mPA)へ拡張期に流入する血流を認め冠動脈瘻を疑った1例に320列CTを用いて精査を行う機会を得た。その経験を報告する。(方法)症例:CT検査時11歳3か月の男児。左前胸部の突出変形の精査のため紹介された。聴診上、心音正常、心雑音は認めなかった。心エコー図ではmPAへ左側壁より拡張期に流入する血流を認め冠動脈瘻と診断した。流入部径は1mm前後であった。左冠動脈主幹部3.9mmφ、前下行枝(LAD)2.8mmφ、右冠動脈(RCA)2.6mmφと正常範囲内。最大流速はLAD26.5cm/s、RCA segment4 17.1cm/sで左右いずれの枝が瘻に続くのか判断できなかった。胸部XPでは心胸郭比41.9%肺血管陰影は正常範囲内であった。安静時十二誘導心電図では明かな異常所見は認めなかったが、トレッドミル負荷心電図でV1 V2でST低下を認めた。このため320列CTを用いて精査した。CT:装置はCanon Aquillion ONE ViSION FIRST EDITION を用いた。単純撮影の後、末梢静脈より造影剤(イオパミロン300)34mlを2.6ml/sで投与しつつbolus tracking法で320列non-helical scanを行った。呼吸停止が不完全であったため心電図編集を行い単心拍での3D画像再構築を行った。なお、被ばく線量は2.5ミリシーベルトであった。(結果)心エコー図で捉えたmPAへの血流はLAD第1中隔枝付近から分枝する血管を通ることが明瞭に評価できた。(考案)本法は呼吸停止が不十分であったにもかかわらず内径1mm前後の冠動脈瘻の明瞭な3D画像が得られ詳細な観察が可能であった。被ばく線量も通常生活者の1年間の自然被ばく線量と同等で、多くはなかった。(結論)本法は1mmφでうねった冠動脈瘻などの血管病変の評価に有用である。