The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

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デジタルオーラル(II)18(P18)
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指定討論者:武内 崇(和歌山県立医科大学)

[P18-5] グレン・フォンタン循環の単心室患者におけるBNP値と心室ストレインの関連

小澤 由衣, 林 泰佑, 高見澤 幸一, 小川 陽介, 進藤 考洋, 三崎 泰志, 小野 博, 賀藤 均 (国立成育医療研究センター 器官病態系内科部 循環器科)

Keywords:フォンタン, ストレイン, BNP

【はじめに】
フォンタン循環患者ではBNP値と心不全症状には関連があるとされているが、心室収縮低下の早期検出に有用かどうかは不明である。ストレイン計測は心室の形態に依存しない指標であり、心エコーによる体心室右室の機能評価法として、有用性が示されている。
【目的】
グレン循環およびフォンタン循環の単心室患者におけるBNP値と心室ストレインの相関を調べ、BNP値が軽微な心室収縮低下を検出できるかどうかを明らかにすること。
【方法】
2018年12月~2019年12月に心エコー検査とBNP測定を行った、主要な心室が右室である単心室の患者14例を対象とした。基礎疾患は、左心低形成症候群4例、右室型単心室8例、不均衡型房室中隔欠損症2例。12例がフォンタン手術に到達し、2例はフォンタン手術待機中であった。心エコーでは、心尖部四腔断面に相当する断面像を用いて右心室の長軸方向ストレイン(GLS)を、心基部短軸断面に相当する断面像を用いて右心室の円周方向ストレイン(GCS)を計測し、対数化したBNP値との相関を調べた。ストレインは絶対値で表示した。
【結果】
評価時の患者年齢は中央値7.7 (2.1~16.3) 歳、BNPは中央値17.7 (2.4~1257.7) pg/mLであった。GLSは中央値17.1% (6.8%~22.8%)で、BNP値と有意な相関を示した (r=0.60, p<0.05)。GCSは中央値12.6% (4.5%~19.4%)で、BNP値とは有意な相関を示さなかった (r=0.46, p=0.1)。BNPが100pg/mL以上の2例はNYHA分類3度であった。BNPが100 pg/mL未満の12例に限って解析すると、GLS、GCSのいずれもBNP値とは有意な相関を示さなかった。
【考察】
主要な心室が右室である単心室のグレン循環およびフォンタン循環患者では、BNP値の高度上昇は長軸方向の心室収縮低下を反映する。BNP値が100 pg/mL未満の場合、BNP値は心室収縮能とは相関がない。グレン循環やフォンタン循環患者の体心室右室の収縮低下を早期に検出する指標としては、BNP値は不適切である。