[P20-2] 2D-FT-MRIによるTCPC術後遠隔期における心機能 -SLV, SRVとの比較-
キーワード:TCPC術後, 心機能, ストレイン
【背景】TCPC術後遠隔期の心機能低下は予後を左右するため、正確な評価が必要であるが、心エコーはecho windowの制約が多く、さらに複雑な心室形態のため評価が検者の主観となりやすい。一方、MRIはwindowの制約を受けず、低侵襲で正確な心機能評価を可能とする。【目的】TCPC術後遠隔期における心機能について、2 dimensional feature tracking MRI (2D-FT-MRI)を用いて評価し、LV dominant(SLV)とRV dominant(SRV)とを比較した。【対象と方法】対象はTCPCに到達した症例のうち、2D-FT-MRI(Philips社 Multiva 1.5T、解析ソフト: TomTec)による解析が可能であった29症例 (SLV 13例: 年齢18±4.7歳, TCPC術後13±4.7年、SRV 16例(うちHLHS 7例): 年齢16±4.5歳, TCPC術後12±3.4年)。Off-lineでGLS, GLSRs, GCS, GCSRs, EF, C.I.を求めた。【結果】GLS, GLSRs, GCS, GCSRs, EF, C.I.いずれも有意差は認められなかった。(SLV: GLS -16.2±4.0%, GLSRs -0.7±0.2%, GCS -26±8.0%, GLSRs -1.1±0.4%, EF 55±8.1%, C.I 2.5±0.6%、SRV: GLS -17.9±4.8%, GLSRs -0.8±0.4%, GCS -23±5.9%, GLSRs -1.0±0.2%, EF 55±6.6%, C.I 3.0±0.4%) SLV, SRVともにGCS/GLSは高値であり(SLV: 1.7±0.5, SRV: 1.4±0.5)、GLSに比べGCSの方がEFと良好な相関関係を示した。【考察】TCPC術後17年以内において、体心室の違いによるストレイン, EF, C.I.に有意差は認められなかった。TCPC術後遠隔期において、GCS, GCSRsがより正確な心機能を反映している可能性が考えられた。【結語】GCS, GCSRsはSLV, SRVにおけるTCPC術後遠隔期の心機能評価において重要である。