[P23-2] 主要大動脈肺動脈側副血行路(MAPCA)に対するカテーテル治療の有効性と安全性
Keywords:MAPCA, CHD, CI
【背景】主要大動脈肺動脈側副血行路(MAPCA)を伴う先天性心疾患(CHD)では高圧から肺血管床を保護し肺血流不均衡を是正することが肝要であり、外科的治療とともにカテーテル治療(CI)の役割は大きい。【目的】MAPCAに対するCIの有効性と安全性について検討する。【方法】2000年1月以降に当院で治療したMAPCAを合併したCHD29例を対象とした単施設後方視的観察研究。対象の内訳は二心室形態(BV)22例、単心室形態(SV)7例。効果判定はバルン形成術(BAP)とステント留置術(SI)は狭窄病変の圧較差が20mmHg以下または狭窄部径の1.5倍以上の拡張が得られた場合を、コイル塞栓術(CE)は目的血管が完全閉塞した場合を有効とした。【結果】29例中14例(BV10例、SV4例)26病変に対し計38件のCIが施行された。内訳はBAP27件(含ステント再拡張1件)、CE8件、SI3件だった。CIの有効率は38件中21件(55%)、特にBAPでは27件中11件(41%)と低く複数回施行が6病変あった。有害事象は4件(11%)、内訳は気管出血2件(ともに保存的に止血)、一過性の血圧低下1件、一過性の房室ブロック1件だった。遠隔期成績はBVR/TCPC到達16例(CI施行:無施行=8:8)、待機5例(CI施行:無施行=3:2)、死亡8例(CI施行:無施行=3:5、1例は交通事故死)。CI施行例でのBVR/TCPC到達率は、CI有効例では8例中6例(75%)だったのに対し一部有効または無効例は6例中2例(33%)と低かった。【考察】MAPCAの狭窄病変は中膜肥厚が強くBAPの効果が得られにくい一方で脆弱な病変も伴っており気管出血のリスクが高いと考えられた。【結語】MAPCAに対するCIは合併症のリスクは高いものの綿密な治療戦略の基に有効なCIがなされればより良い治療成績が得られる。