[P24-4] 新生児期に肺高血圧・心不全症状を呈しカテーテル治療で軽快した肺底区動脈大動脈起始症の2例
Keywords:肺底区動脈大動脈起始症, 新生児肺高血圧, コイル塞栓
【緒言】肺底区動脈大動脈起始症は肺動脈を欠損した正常気管支組織に大動脈からの異常血管が流入する先天異常である。肺葉切除などの早期手術が勧められるが新生児早期より高肺血流性心不全・肺高血圧を生じる例もある。【症例1】在胎37週、2431gで出生。多呼吸と胸部X線異常陰影、超音波検査から肺分画症を疑われ生後3日目に当院に転院。超音波検査、造影CTで右肺底区動脈大動脈起始症と診断した。心拡大(CTR 53%)と肺高血圧(TRPG 88mmHg)があり、進行性呼吸障害の症状緩和のため生後6日目にカテーテル治療を行った。肺動脈圧75/35(53)mmHg、体肺血圧比1.53と重症肺高血圧であった。0.035インチPushable coil 5mm2個、4mm2個で異常血管を塞栓した。治療後肺動脈圧36/14(24)mmHgと改善。一旦呼吸状態安定したが再度心不全症状が増悪し、生後16日目に待機的右肺下葉切除を行った。在宅酸素を導入し退院した。【症例2】在胎40週、3434gで出生。心雑音と多呼吸から心エコー図で重症大動脈弁狭窄症と診断され、生後2日に当院に転院。心エコー図上、大動脈弁平均圧格差25mmHgであった。下肢脈診微弱であり大動脈形態確認目的の造影CTを撮影し、左肺底区動脈大動脈起始症と診断した。下肢脈診触知不能であり尿量減少し生後3日目にカテーテル治療を行った。肺動脈圧43/21(36)mmHg、大動脈圧45/32(39)mmHg、左室圧67/5mmHg、左房圧は8mmHgと著しく上昇していた。左室大動脈圧格差が大きく先に血管形成バルーンにより段階的に拡張した(大動脈弁輪7.7mmに対しBandicout5mm→6mm)。次いで肺底区動脈を電気離脱式コイル(Target)5mm径1個、3mm径3個で塞栓。治療により左房圧が段階的に低下し心不全症状は改善、生後15日に前医に転院した。【結語】新生児期発症の肺底区動脈大動脈起始症に対するコイル塞栓は有効な治療法の一つである。その報告例はほとんどなく長期予後や合併症が不明であるため適応は慎重に検討する必要がある。