[P24-5] 動静脈瘻を伴う硬膜静脈洞奇形に臍帯動脈経由の経動脈的塞栓術を施行した早産児の一例
Keywords:カテーテル治療, 胎児心不全, 臍帯動脈
【はじめに】動静脈瘻を伴う硬膜静脈洞奇形(DSM, Dural Sinus Malformation)は胎児期に発生する頭蓋内先天性血管奇形である。巨大な静脈洞が特徴で、心不全、巨頭症、水頭症、痙攣、発達遅滞の原因となり、治療は経動脈的塞栓術が第一選択となる。今回、胎児診断された動静脈瘻を伴うDSMに対し、臍帯動脈経由の経動脈的塞栓術を施行したので報告する。【症例】母39歳、1経妊1経産。妊娠29週に胎児頭蓋内嚢胞、頭囲拡大、心嚢水を指摘された。妊娠31週の胎児心エコーではSVC優位の拡大はなく、CTAR 43%、combined cardiac output 700mL/kg/minと高心拍出性心不全が示唆されたが、胎児水腫への進行なく経過した。妊娠33週の胎児MRIでDSMが疑われ、産科、脳神経外科、小児科によるカンファランスで、頭蓋内嚢胞の増大傾向から早期の血管内治療の適応と判断され、妊娠35週の計画分娩で臍帯動脈経由の経動脈的塞栓術を行う方針とした。児は児頭骨盤不均衡を適応に帝王切開で在胎35週2日、出生体重2,757gで出生し、人工呼吸管理を要した。日齢1の頭部MRIで確定診断し、日齢5に血管内治療を施行した。出生時に留置した臍帯動脈カテーテルに0.025inchガイドワイヤーを挿入し、臍帯動脈カテーテル抜去後に、ガイドワイヤー経由に4Fr直孔のデリバリーカテーテルを胸部大動脈まで先行させ、カテーテルをガイドに尖端をSteam Shapeした4Frシースを留置した。臍帯動脈が湾曲する部位のシース挿入にはエコーで血管損傷がない事を確認した。脳神経外科医により流入血管3本が塞栓され、シース抜去時に臍帯動脈損傷部位からの出血があったが結紮で止血し、合併症なく治療を終了した。【考案】大腿動脈穿刺が困難な症例への臍帯動脈経由の経動脈的塞栓術が報告されている。湾曲する臍帯動脈へのシース挿入には動脈損傷のリスクがあり工夫を要する。【結語】大腿動脈穿刺にリスクのある症例では臍帯動脈経由のカテーテル治療が有効である。