第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

カテーテル治療

デジタルオーラル(II)25(P25)
カテーテル治療5

指定討論者:片岡 功一(広島市立広島市民病院 小児科 / 循環器小児科)

[P25-6] AMPLATZER vascular plugによる治療後に再治療を要した肺動静脈瘻の1例

佐藤 恵也, 古川 岳史, 真弓 怜奈, 磯 武史, 若月 寿子, 松井 こと子, 原田 真菜, 福永 英生, 高橋 健, 稀代 雅彦, 清水 俊明 (順天堂大学 小児科)

キーワード:肺動静脈瘻, AVP, コイル

【背景】肺動静脈瘻(PAVM)は右左短絡に起因する低酸素血症による症状や、肺出血・心不全・脳梗塞などの合併症のリスクがある. 現在では経皮的塞栓術が主流で, コイル塞栓に加え, 近年ではAMPLATZER vascular plug(AVP)の良好な成績が報告されている.【症例】15歳男児. 10歳時にチアノーゼを契機に肺動静脈瘻の診断に至った. 左下肺全域に多発する肺動静脈瘻に対し当初は肺葉切除が考慮されたが, 計5本のAVPによる経皮的塞栓術を行い酸素飽和度が88%から98%に改善し, その後は無症状で経過していた. 今回は喀血を主訴に入院, 酸素飽和度は95%に低下していた. CTにて左S6のPAVM再発とS10の肺出血を疑われた. 心臓カテーテル検査の結果A6への再開通を認めたため, 計13本のコイルによる塞栓を行った. 現在治療後2か月が経過し, 肺出血の再発はなく酸素飽和度は98%を維持している. 【考察】PAVMに対する経皮的塞栓術は瘤内や流入血管に対する塞栓が一般的であるが, 本症例は左下肺全域に肺動静脈瘻を認めたため, 初回治療において左下肺動脈全域に対しAVPによる塞栓を行った. 後方視的に胸部レントゲンを確認すると治療後1年では明らかにAVPの短縮を認めていた. そのため当初はカバーできていたA6領域が再開通したと考えらえた. 従来PAVMに対して良好な塞栓効果を有するAVPにおいても, 小児例においては血管のコンプライアンスや成長に伴いデバイスの変形・再開通をきたす可能性があり, コイルの併用も考慮する必要があると考えられた.【結語】小児のPAVMにおける経皮的塞栓術は, 時間経過や成長に伴うデバイスの変形も考慮し治療戦略を立てる必要がある.