[P26-3] 心室細動にて救急搬送され植え込み型除細動器を挿入した1男児例
キーワード:痙攣重積, 心室細動, 植え込み型除細動器
症例:4歳男児 主訴:失神、痙攣 家族歴:てんかん、突然死なし。既往歴:2018年5月、朝起床時に無呼吸を家族が発見し痙攣様運動も認めたため当院救急搬送、痙攣重積の診断で入院した。挿管、ICU管理となったが翌日抜管。全身状態良好にて5日目には退院となった。てんかん疑いにて外来観察、同年8月脳波施行したが異常認めず一旦フォロー終了となっていた。現病歴:2019年11月、自宅で家族とかくれんぼをしている最中にぐったりし呼吸停止しているところを父が目撃、救急要請した。心臓マッサージ継続中、車内で二度AED作動し当院救急搬送された。来院時は除皮質硬直肢位と頻脈、共同偏視認めたため痙攣重積と判断し抗痙攣薬を使用し頓挫した。その後覚醒するも発熱と従命困難残存したため頭部MRIや髄液検査等も施行したが、明らかな異常は認めなかった。救急搬送時の記録上心室細動(Vf)を認めたため心筋炎や冠動脈疾患などの鑑別と遺伝性不整脈の可能性も考え遺伝子解析を行った。入院後安静にてVfの再燃なく経過したが、運動負荷心電図にて心拍数上昇に伴いPVC頻発、二段脈も認められた。カテコラミン誘発性多型性心室頻拍(CPVT)も疑われ、突然死予防のための植え込み型除細動器(ICD)挿入と薬物(カテコラミン)負荷試験目的に大学病院へ紹介した。ICD挿入手術は無事終了し外来フォロー中であったが3度除細動器の作動が確認されたとのことであった。その後遺伝子解析の結果RYR2遺伝子の新規突然変異が同定され、CPVTの診断に至った。結語 てんかん重積や失神と診断される症例の中には、致死的不整脈が原因とされることがこれまでも報告されているが、今回我々も同様の症例を経験した。ICD挿入を含め、突然死を防ぐためにもその原因検索と治療方針等については慎重な対応が必要と改めて認識させられた。若干の文献的考察を含め報告する。