[P27-1] 副伝導路離断後に心室内同期不全に起因する心室中隔のリモデリング所見が改善した無症候性B型WPW症候群の1例
キーワード:WPW症候群, dyssynchrony, リモデリング
【背景】近年、心室内同期不全から左心機能低下を呈するB型およびC型WPW症候群において、抗不整脈薬やカテーテルアブレーションによる心機能改善の報告が散見されるが、心臓MRIによる画像評価を含めた報告は少ない。今回、心室内同期不全から左心機能低下を呈したが、カテーテルアブレーション後に心機能の改善および心臓MRIで心室中隔のリモデリング所見の改善を認めた無症候性B型WPW症候群の1例を報告する。【症例】4歳女児。2歳時に心雑音を契機に前医で拡張型心筋症、B型WPW症候群を指摘された。心エコーでLVDd 40.8 mm(132%N)、LVEF 35%と左心系拡大、左心機能低下、中隔のdyssynchronyを認め、心臓MRIでは心室中隔のガドリニウム遅延造影(LGE)陽性所見を認めた。心室内同期不全による左心機能低下と考えカテーテルアブレーションを施行し、三尖弁輪後方で副伝導路を離断した。以降、mechanical dyssynchronyは残存したが、次第に心機能は改善傾向となり、カテーテルアブレーションより約1年半後の心エコーでLVDd 42.8 mm(126%N)、LVEF 47.4%、心臓MRIで心室中隔のLGE所見の消失を確認した。【考察】WPW症候群における早期興奮部位のLGE陽性例では局所異常壁運動を伴うことが多く、左心機能低下例が多いとされ、本症例でも中隔の収縮早期異常収縮による中隔の機能性低灌流からリモデリングが生じたが、同期不全が改善したことでリバースリモデリングが生じたと推測される。また、本症例の心機能改善は同期不全の改善による効果に加え二次的に生じたリバースリモデリングも寄与したと考えられるが、治療による心機能改善が乏しい症例の報告もあり、適切な治療タイミングについては今後さらなる検討が必要である。【結語】同期不全を呈する低心機能かつLGE陽性例に対して時機を逃さず治療介入を行うことで、同期不全の改善、リバースリモデリングによる心機能改善に期待できる可能性があると考えられる。