[P27-2] Speckle tracking法によるWPW症候群の心室内非同期と心機能評価の検討
キーワード:WPW症候群, dyssynchrony, ストレイン
【背景】顕在性WPW症候群では頻拍発作イベントの無い症例でも副伝導路を介した心室興奮が非同期(dyssynchrony)を来し、高度dyssynchrony有する症例の中に心機能が低下し、一部は拡張型心筋症様変化にまで至る可能性が存在する。【目的】未治療の顕性WPW症候群を副伝導路の位置で分類し、speckle tracking法により左室の層別strainを用いて心機能低下の特徴を明らかにする。【方法】対象はWPW症候群19例(typeA群9例(WA群)、typeB群10例(WB群))および年齢を合わせた正常対照群38例(N群)。胸骨傍短軸像より左室の心基部(Bas)、乳頭筋部(Pap)、心尖部(Api)レベルの円周方向Strain(CS)および重心方向Strain(RS)、心尖部四腔断面像より長軸方向Strain(LS)を各内層・中層・外層に層別化し計測した。dyssynchronyは各segmentのRSのピーク値までの時間を標準偏差で計測した。【結果】年齢はWA群13.0±3.3歳、WB群15.1歳±4.3歳、N群14.7±5.0歳。各群で左室駆出率およびdyssynchronyに有意差は認めなかった。LS全層でWB群のLSがN群と比較し有意に低下を認めた。CS内層はWA群・WB群ともにBasCSおよびPapCSが正常群と比較し有意に低下を認めた。CS中層はWB群のBasCSおよびPapCSが正常群と比較し有意に低下を認めた。CS外層はWB群のBasCSでのみ正常群と比較し有意差に低下を認めた。【結論】層別strain解析では内膜層よりstrainの低下を認める傾向があり、部位別strain解析では心基部からCSの低下を認める傾向が示された。WPW症候群ではWB群はより多くの部位で層別ストレインが低下するが非同期の指標は有意差を認めない。層別ストレインは収縮能低下の初期段階を鋭敏に反映している可能性がある。