第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラル(II)27(P27)
電気生理学・不整脈2

指定討論者:吉田 修一朗(中京病院中京こどもハートセンター 小児循環器科)

[P27-5] 心房中隔欠損症(ASD)閉鎖術後に心房細動アブレーションを施行した一例

浅木 康志1, 檜垣 高史2, 小田 真矢1, 三木 航太1, 山田 文哉1, 宮田 豊寿2, 森谷 友造2, 千阪 俊行2, 高田 秀実2, 太田 雅明2 (1.愛媛大学 ME機器センター, 2.愛媛大学大学院 小児科学講座)

キーワード:ASD, 心房細動, カテーテルアブレーション

【背景】ASDに対するカテーテル治療は、2006年に健康保険で認められ、現在では、低侵襲な治療法として普及している。一方で、心房細動(AF)に対するカテーテルアブレーションは確立した治療法であるが、閉鎖栓の留置のため左房(LA)へのアプローチが困難になる。AFを伴うASDについては治療戦略が重要である。【症例】73歳女性。2012年3月、倦怠感およびふらつきを自覚し当院へ紹介入院した。経食道心エコー図検査(TEE)でASDを認め、右心カテーテル検査ではQp/Qs=1.8であり、ASD閉鎖術の適応と判断された。ASD閉鎖術を行うにあたり、AFに対する肺静脈隔離術(PVI)を先行して施行する方針となったため、2012年4月初回PVIを施行した。その後のAF再発の可能性を考慮し、約2年間経過観察したのち2014年6月心臓電気生理学的検査(EPS)にてPVIの再伝導がないことを確認後、ASDのカテーテル閉鎖術を施行した。以後、経過良好であったが、2017年7月AFの再発を認めた。ASD閉鎖術を既に施行しているため心房中隔穿刺で難渋することが予想されたため、TEEおよび心臓CTにより穿刺部位を詳細に検討し、2ndAFアブレーションを施行した。心腔内超音波検査も併用した。幸い心房中隔後下方に穿刺スペースがあり閉鎖栓デバイスを避けてLAへのアプローチが可能であり、問題なく左房後壁隔離術を施行しセッション終了とした。以後AF再発は認めていない。【考察および結語】本症例はASD閉鎖に伴い、再発の可能性を十分考慮し、ASD閉鎖術を行ったがAFの再発を認めた症例である。LAへのアプローチにおいては、詳細に穿刺部位を評価することにより閉鎖栓デバイスを避けて心房中隔穿刺が行えたため、安全にLAにアプローチすることが出来た。ASD閉鎖術後に再発したAFに対するカテーテルアブレーションを施行した症例を経験したので報告する。