The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラル(II)28(P28)
電気生理学・不整脈3

指定討論者:豊原 啓子(東京女子医科大学 循環器小児 成人先天性心疾患科)

[P28-2] 胎児徐脈で発見され、KCNQ1の同じ部位のミスセンス変異のみつかったLQT1の2例

五藤 明徳, 長井 典子, 水野 隼人, 成瀬 和久 (岡崎市民病院 小児科)

Keywords:LQT1, 胎児徐脈, KCNQ1

【背景】KCNQ1遺伝子変異はLQT1の原因として報告されており、一般には運動時にQT延長が増悪し、運動突然死の遺伝子変異として知られる。今回胎児徐脈を指摘され、LQTの家族歴があることから遺伝子検査をしたところ、血縁関係のない2症例から同じ部位の変異が見つかったため報告する。【症例1】15歳女。兄が学校検診でQT延長、母のいとこに若年突然死の家族歴がある。在胎36週に胎児徐脈で当院に紹介、38週4日2714gで出生、出生後HR100/minの徐脈だが、心エコーで形態異常なく状態は安定していた。心電図でU波と軽度QT延長の所見あるも1か月後はQTc0.42secであったためフォロー終了となった。小学校4年生の検診でLQTが指摘され他院でフォローされていたが、15歳時に精査目的に当院再紹介となった。起立性調節障害様の失神歴はあったが、運動時の失神はなかった。安静時はHR45/min、QTc0.43secであったが、T-masterの負荷後3分で、不整あり一定ではないが、最長でQTc0.57secと延長を認めた。KCNQ1遺伝子、KCNH2遺伝子に変異が認められ、LQT1+LQT2と診断された。βblocker少量内服で経過観察中である。【症例2】0歳男。家族歴は、母、母方祖父、伯母にLQT指摘されたことがあり、いとこが胎児徐脈とLQT傾向があるも改善したため2歳でフォロー終了とされた家族歴がある。在胎32週に胎児不整脈の疑いで紹介となるも胎児心エコーでは徐脈以外の異常はなかった。37週5日、2632gで出生、安静時HR100/min前後の軽度徐脈で、V2-4ではnotchedTがあり、QTc0.52secであった。症例1と同じ部位にKCNQ1遺伝子のミスセンス変異が認められたが、生後2Mで徐脈傾向はなくなり、現在無投薬で経過観察中である。従兄弟も遺伝子検査中である。【結語】胎児徐脈が指摘され、出生後徐脈とLQT傾向を認め、同じ部位でのKCNQ1遺伝子変異を有する2例を経験した。胎児徐脈とLQTが同じ遺伝子変異で起きる可能性があり、今後の症例の蓄積が待たれる。