The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラル(II)30(P30)
電気生理学・不整脈5

指定討論者:青木 寿明(大阪母子医療センター 小児循環器科)

[P30-1] 先天性完全房室ブロックに対する体外式一時ペーシングの検討

森川 哲行1, 山形 知慧1, 佐藤 麻朝1, 小山 裕太郎1, 宮田 功一1, 永峯 宏樹1, 大木 寛生1, 吉村 幸浩2, 前田 潤1, 三浦 大1 (1.東京都立小児総合医療センター 循環器科, 2.東京都立小児総合医療センター 心臓血管外科)

Keywords:先天性完全房室ブロック, 体外式一時ペーシング, ペースメーカー植え込み

【背景】先天性完全房室ブロック(CCAVB)は胎児・新生児期死亡率が高く、薬物療法に反応せず心拍数55 /分以下の高度徐脈を呈する場合は出生直後から体外式一時ペーシング(tPM)が行われることがある。しかし、tPMの留置期間や合併症については明らかでない。【目的】tPMの有効性と安全性を評価すること。【方法】2010年以降に当院で胎児診断し、出生後治療を要したCCABV 7例の経過を後方視的に検討した。【結果】出生時体重2030~2915g(中央値2430g)、出生時週数35週1日~38週4日(中央値36週6日)、出生時最低心拍数38~90 /分(中央値49 /分)で、観察期間0.4年~8.3年(中央値3.3年)で、全例永久ペースメーカー植え込み(PMI)が行われた(DDD 3例、VVI 4例)。7例中3例はtPMを留置(T群)、4例はイソプロテレノール等の薬物療法のみ(M群)でPMIまで待機した。T群は全例リード挿入部感染をきたし、tPM挿入から感染までの期間は19~49日(中央値41日)であった。T群とM群でPMI実施時日齢は107 vs 38、心拍数は90 vs 57.5 /分、PMI時BNP は155 vs 407.5 pg/ml、PMI時心胸郭比は 53.9 vs 66.1%であった(いずれも中央値)。【考察】tPMはPMI実施前までの心不全管理には一定の効果があったと考えられたが、リード挿入部感染のリスクは非常に高かった。体重3 kg以下または日齢5未満でPMI後の感染が高率と報告されており、待機できればtPMではなくPMIが実施できる可能性がある。【結論】新生児、乳児のCCAVBに対するtPMは感染のリスクが高く、可及的な短期間の挿入または薬物治療によるPMI待機が望ましい。