The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

電気生理学・不整脈

デジタルオーラル(II)30(P30)
電気生理学・不整脈5

指定討論者:青木 寿明(大阪母子医療センター 小児循環器科)

[P30-3] 嘔吐により高度房室ブロックを呈しペースメーカ植込みを要した状況失神の1例

嶋田 淳, 佐々木 都寛, 小山石 隼, 北川 陽介, 大谷 勝記, 高橋 徹, 三浦 文武 (弘前大学 小児科)

Keywords:神経調節性失神, 心抑制型, ペースメーカ

【背景】神経調節性失神とくに状況失神は各種検査においても確定診断が困難であり、治療方針の決定には悩まされることが多い。今回、繰り返す失神の精査中に嘔吐による高度房室ブロックを確認し診断することができた状況失神の1例を経験したので報告する。【症例】8歳、女児。2歳時に動脈管開存症に対してカテーテル治療歴があり、その際にWenckebach型房室ブロックの診断となっていた。定期検診で高度房室ブロックへの進展と失神転倒による左尺骨骨折が疑われたため、6歳時に当科紹介となった。電気生理検査では洞結節や房室結節の機能に異常はなく徐脈や頻脈性不整脈の誘発も認めなかった。運動負荷心電図やヘッドアップチルト試験、顔面冷水浸水試験においても房室ブロックは誘発されなかった。神経調節性失神として投薬なしで経過観察となったが、その後も浣腸による排便時や歯磨き中の咽頭反射で意識消失を起こしていた。8歳時にホルター心電図装着中に胃腸炎を罹患し、嘔気・嘔吐に伴い最大9.6秒の高度房室ブロックによる心室停止を認め、心抑制型の状況失神と診断された。意識消失を繰り返しており、ペースメーカ植込みの適応と判断し治療が行われた。【考察】神経調節性失神の小児においても心抑制型ではペースメーカ治療が必要となる症例がいるので注意が必要である。【結論】神経調節性失神においては心抑制型の検索のため繰り返し心電図評価が必要である。状況失神では迷走神経反射出現時のホルター心電図はとくに有用であった。