The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

集中治療・周術期管理

デジタルオーラル(II)33(P33)
集中治療・周術期管理2

指定討論者:松井 彦郎(東京大学医学部附属病院 小児科)

[P33-5] 小児の重症呼吸不全に対し呼吸ECMOが有用であった4例

倉根 超1, 片岡 功一1,2, 橘木 浩平2, 永野 達也2, 末盛 智彦2, 多賀 直行2, 関 満1, 佐藤 智幸1, 河田 政明2,3 (1.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児科, 2.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児手術・集中治療部, 3.自治医科大学とちぎ子ども医療センター 小児・先天性心臓 血管外科)

Keywords:小児, 呼吸不全, ECMO

【背景と目的】近年成人では,重症呼吸不全に対する生命維持法として呼吸ECMOの使用例が増加している。しかし,循環ECMOと異なり小児での呼吸ECMOの報告は限られる。当センター開設後に呼吸ECMOを導入した症例を診療録から後方視的に検討し、小児での呼吸ECMOの適応と有用性について解析した。【対象と方法】2006年9月-2020年2月に呼吸ECMOの導入例は4症例であった。日齢0-10ヶ月(中央値1.5ヶ月)、体重2.8-5.8kg(中央値4.2 kg)。疾患は間質性肺炎に伴う縦隔気腫/皮下気腫1例、新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)1例、サイトメガロウイルス肺炎1例、カリニ肺炎1例で,後2例は重症免疫不全を合併していた。ECMO導入理由は低酸素血症が1例、低酸素血症および非代償性高二酸化炭素血症が3例だった。PaO2/FiO2 Ratio(P/F Ratio)は32-73(中間値52)、PaCO2は43-150mmHg(中間値67mmHg)だった。ECMO導入までの人工呼吸日数は0-18日(中央値10.5)だった。【結果】8-12日(中央値9.5日)のECMO管理後、全例離脱に成功し,人工呼吸も中止できた。神経学的後遺症を残した症例はなかった。ECMO離脱に向けて、全例ウィーニングを数日の経過で行った。ECMO離脱時、P/F Ratioは188-433(中央値297)に改善していた。さらに人工呼吸器からの離脱はECMO離脱4-37日後(中央値6日後)で可能であった。カニューレ挿入部出血は軽度で中止に至った症例はなかった。人工肺/回路の交換は、経時的ガス交換能低下から10日目に交換した1例と溶血の進行により4日目に交換した1例であった。カニューレ抜去時は全例で血管形成を施行し、2例で静脈内血栓を認め、可及的に除去し、新規塞栓症はなかった。【考察と結論】関連する合併症に注意が必要であるが、小児の最重症呼吸器不全に対して呼吸ECMOは極めて有用である。