The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

集中治療・周術期管理

デジタルオーラル(II)34(P34)
集中治療・周術期管理3

指定討論者:深江 宏治(熊本市立熊本市民病院 小児心臓外科)

[P34-5] 先端可動型マイクロカテーテルによる集中治療室での肺動脈圧持続モニタリング

田中 惇史1, 宗内 淳1, 江崎 大起1, 松岡 良平1, 土井 大人1, 杉谷 雄一郎1, 渡邉 まみ江1, 落合 由恵2 (1.九州病院 小児科, 2.九州病院 心臓血管外科)

Keywords:肺高血圧, 周術期管理, 肺静脈狭窄

【はじめに】新生児・乳児の重症肺高血圧治療に際して肺動脈圧モニタリングには心エコー図検査による左室圧排所見や三尖弁逆流より推定される右室圧が用いられるが、集中治療においてより詳細なモニタリング方法が望まれる。先端可動型マイクロカテーテルを用いて肺動脈圧モニタリングを行った重症肺高血圧乳児例を経験したので報告する。【症例】在胎39週1日、2580gで出生後チアノーゼから総肺静脈還流異常症(Darling分類Ia型)と診断し生後7日に修復術を施行した。術後肺静脈狭窄を合併したため重度肺高血圧(肺動脈圧75/35(53)mmHg、体肺動脈圧比(Pp/Ps)1.01、平均肺動脈圧楔入圧18mmHg)となり生後94日に肺静脈狭窄解除術を施行した。術後の経時的心エコー図検査では肺高血圧が残存し一酸化窒素(NO)から離脱困難であり、肺血管拡張薬内服(タダラフィル、ボセンタン)を導入した。心エコー図検査では肺静脈狭窄は明らかではなかったので術後31日に心臓カテーテル検査を施行した。NO投与下でPp/Ps 0.72、NO中止でPp/Ps 1.50へ上昇し重症肺高血圧であったが、平均肺動脈楔入圧(左側11mmHg、右側8mmHg)と造影所見から肺静脈狭窄はなかった。しかし、セレキシパグを追加したところ肺うっ血が進行し肺CTでモザイク像となったことから肺静脈閉塞症を疑った。術後37日に鎮静を契機に失神した。厳密な肺動脈圧モニタリングが必要と判断し右内頸静脈に4Frシースを用いて先端可動型マイクロカテーテルを透視下に右肺動脈内に留置し持続肺動脈圧モニタリングを行った。ボセンタン、セレキシパグを中止しNO 20ppm投与下では肺動脈圧104/59(78)mmHg、Pp/Ps 0.67であったが、呼吸障害とともにPp/Ps 1.20へ悪化したため術後40日に人工呼吸器管理を開始したところPp/Ps 0.67へ低下した。カテーテル感染のため4日後に抜去した。【結語】先端可動型マイクロカテーテルは乳児重症肺高血圧における肺動脈圧持続モニタリングとして有用である。