The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

集中治療・周術期管理

デジタルオーラル(II)35(P35)
集中治療・周術期管理4

指定討論者:猪飼 秋夫(静岡県立こども病院 心臓血管外科)

[P35-1] 宮城県立こども病院における先天性心疾患に合併した壊死性腸炎の臨床像

小野 頼母1, 小泉 沢1, 其田 健司1, 木村 正人2, 小澤 晃2, 渡邉 達也3, 田中 高志2, 遠藤 尚文4, 崔 禎浩5, 川名 信6 (1.宮城県立こども病院 集中治療科, 2.宮城県立こども病院 循環器科, 3.宮城県立こども病院 新生児科, 4.宮城県立こども病院 外科, 5.宮城県立こども病院 心臓血管外科, 6.宮城県立こども病院 麻酔科)

Keywords:壊死性腸炎, 窒素吸入, 低出生体重

【背景】先天性心疾患(CHD)に合併する壊死性腸炎(NEC)の実態はいまだ不明な点が多い
【目的】CHDに合併したNECの実態を調査すること
【対象】2014~2019年にNECまたは穿孔性腹膜炎と診断されたCHD11例.術後縫合不全や,器質的狭窄・閉鎖および絞扼性イレウスに伴う穿孔性腹膜炎は除外した
【方法】診療記録を参照し,患者背景,発症時の日齢と術後経過日数,初発症状,消化管穿孔の有無,NECに対する治療,転帰と観察期間,最終受診時点の血行動態について後方視的に検討した
【結果】男7.在胎37週(25-39) [中央値(範囲)].出生体重は2.3kg (0.5-3.2)で,2kg未満の5例は全て染色体異常を合併した.CoA with VSDが3例,AVSD/TGA/PAVSDが各2例,PAIVSとSRVが各1例だった.Ducal shockはなかった.初回心臓手術前のNEC発症は7例(発症時日齢27[5-46])だった.1例を除き肺血流増多型CHDで,5例は窒素吸入を,2例は発症後14日以内に外科的な肺血流制御を施行していた.心臓手術後の発症は4例(日齢17[10-699], 術後2日[1-4])だった.術翌日に発症した2例はSRV with CoAとTGAで心臓手術直前まで窒素を吸入していた.またBTS後に発症した1例は術中にPDAを結紮できず心臓手術後は高肺血流となっていた.全例で腹部膨満を伴い,4例で血便,3例に胆汁性胃残を認めた.8例で開腹腸管切除を要し,すべて腸管穿孔を認めた.切除腸管は8例全てで結腸で7例は人工肛門を造設(全例で後に閉鎖)した.2例は内科治療のみで軽快した.ほかに耐術不能で外科治療を回避した症例が1例あった.この症例を含め死亡は2例(NEC1,高肺血流心不全1)だった.生存した9例の観察期間は42カ月(5-58)で,7例で心内修復術またはTCPCへ到達できた.残り2例はNEC発症後6か月未満であり心臓手術待機中である
【結語】CHDに合併するNECの臨床像は多様であった.染色体異常を伴う出生体重2kg未満の低出生体重例や,初回心臓手術前に窒素吸入を要した例での発症が多かった