[P36-2] 当院における小児期発症の不整脈源性右室心筋症3例の臨床像の検討
Keywords:不整脈源性右室心筋症, 心不全, 不整脈
【はじめに】小児期発症の不整脈源性右室心筋症(ARVC)は稀であり、その臨床像については不明な部分が多い。当院で加療中の小児期発症ARVCの臨床像を提示し、文献的考察を交え今後の治療方針について検討する。
【症例】症例1は15歳女子。14歳時に労作時胸痛を契機に診断された。診断時NYHA II度であり、両心機能の低下(LV/RVEF 49/37%、心係数 1.8L/min/m2)と右室を中心として左室へも及ぶ心室壁の菲薄化を認めた。利尿剤、β遮断薬、ACE阻害薬内服で加療中だが、心不全による二次性腎機能低下もきたしており心臓移植も視野に経過観察中である。症例2はARVCの母を持つ19歳女性。13歳時、反復性の胸痛を契機に診断された。ACE阻害薬及びβ遮断薬で加療し、自覚症状の増悪はないが、RVEFは診断時9.7%から現在7.0%まで緩徐に低下し、BNPも上昇傾向である。症例3は15歳男子。13歳時の学校心臓検診(PVC二段脈)を契機に診断された。右室機能はRVEF 41%と比較的保たれていたが、安静時より多源性のPVCを最大6連発までみとめ、運動負荷でPVCの頻度は増加した。運動制限とβ遮断薬により加療していたが、15歳時に軽労作を契機にVFとなった。蘇生後にPCPS装着を経て自宅で生活を過ごせるレベルに回復し、現在はICDの植え込み及び抗不整脈治療強化の上で経過観察中である。
【考察】小児期発症のARVCは稀だが、若年突然死の原因から見た場合にその割合は少なくない。一方で不整脈は目立たず心機能低下・心不全症状が進行し心臓移植に至った小児例も散見される。当科の症例も1例はVF蘇生例で、2例は進行性の心不全が症状の主体である。ARVCは病期により臨床像が変化するとも言われ、症状の主体が不整脈から心不全に変化する可能性もある。前者では突然死の予防が、後者では心臓移植も視野に入れた心不全治療が必要となる。
【結語】小児期発症のARVCでは多様かつ変化する臨床像に合わせた適切な管理方針の選択が重要である。
【症例】症例1は15歳女子。14歳時に労作時胸痛を契機に診断された。診断時NYHA II度であり、両心機能の低下(LV/RVEF 49/37%、心係数 1.8L/min/m2)と右室を中心として左室へも及ぶ心室壁の菲薄化を認めた。利尿剤、β遮断薬、ACE阻害薬内服で加療中だが、心不全による二次性腎機能低下もきたしており心臓移植も視野に経過観察中である。症例2はARVCの母を持つ19歳女性。13歳時、反復性の胸痛を契機に診断された。ACE阻害薬及びβ遮断薬で加療し、自覚症状の増悪はないが、RVEFは診断時9.7%から現在7.0%まで緩徐に低下し、BNPも上昇傾向である。症例3は15歳男子。13歳時の学校心臓検診(PVC二段脈)を契機に診断された。右室機能はRVEF 41%と比較的保たれていたが、安静時より多源性のPVCを最大6連発までみとめ、運動負荷でPVCの頻度は増加した。運動制限とβ遮断薬により加療していたが、15歳時に軽労作を契機にVFとなった。蘇生後にPCPS装着を経て自宅で生活を過ごせるレベルに回復し、現在はICDの植え込み及び抗不整脈治療強化の上で経過観察中である。
【考察】小児期発症のARVCは稀だが、若年突然死の原因から見た場合にその割合は少なくない。一方で不整脈は目立たず心機能低下・心不全症状が進行し心臓移植に至った小児例も散見される。当科の症例も1例はVF蘇生例で、2例は進行性の心不全が症状の主体である。ARVCは病期により臨床像が変化するとも言われ、症状の主体が不整脈から心不全に変化する可能性もある。前者では突然死の予防が、後者では心臓移植も視野に入れた心不全治療が必要となる。
【結語】小児期発症のARVCでは多様かつ変化する臨床像に合わせた適切な管理方針の選択が重要である。