The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

心筋心膜疾患

デジタルオーラル(II)37(P37)
心筋心膜疾患2

指定討論者:石井 卓(東京医科歯科大学 小児科)

[P37-1] 小児肥大型心筋症に対する心臓MR所見と予後

小野 博, 高見澤 幸一, 小澤 由衣, 小川 陽介, 林 泰佑, 進藤 考洋, 三崎 泰志, 賀藤 均 (国立成育医療研究センター 循環器科)

Keywords:hypertriphic cardiomyopathy, cardiac magnetic resonance, children

【背景】心臓MRは成人の肥大型心筋症に対する評価では重要で、特に遅延造影は約半数に認められ、その予後との相関が報告されている。しかし小児例に対する報告は少ない。【対象と方法】国立成育医療研究センターでフォローされている肥大型心筋症小児例に対し、心臓MRを施行した20歳未満の7例。心臓MR所見を死亡例と死亡例以外、死亡例+心不全入院とそれ以外、遅延造影陽性と陰性の2群間で比較した。【結果】MR施行時年齢:1歳から19歳(中央値10歳)、男性3例、Noonan症候群:2例、MYH7 遺伝子変異:1例であった。全例内服薬を処方され、不整脈の合併は3例で心室頻拍1例、心房頻拍1例、WPW症候群1例で、後者2例はアブレーションが施行された。BNPは505±410 pg/mlであった。遅延造影は2例 (29%)で陽性であった。死亡は2例で、自宅での突然死であり、遅延造影はともに陰性であった。死亡例のうち1例は新生児期発症のNoonan症候群で、心房中隔欠損、肺動脈狭窄を合併し、2歳11か月で死亡し、1例は新生児期発症で、MYH7遺伝子変異を認め、右室低形成であり、1歳3か月で死亡した。生存例5例は心筋以外の心内の合併は認めなかった。死亡例を除く心不全入院は拡張相の1例で認め、遅延造影陽性であった(33%)。心臓MRは左室駆出分画(62±16%)、左室拡張末期容量係数(96±58 ml/m2)、左室収縮末期容量係数(45±51 ml/m2)、1回拍出量(51±15 ml/m2)、心係数(3.76±0.79 L/min/m2)、左室心筋重量(111±63 g/m2)、右室駆出分画(63±5%)に関して評価し、2群間の比較では、症例数が少なく参考値ではあるが、有意差を認めず、遅延造影の有無と生命および心臓の予後との相関も認めなかった。【考察】小児肥大型心筋症は成人と比べ遅延造影の陽性率は低く、その予後は、遅延造影をはじめ心室機能とは相関しなかった。早期発症と全身の合併症や他の心内奇形がある症例の生命および心イベント発生の予後は不良であった。