The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

心筋心膜疾患

デジタルオーラル(II)39(P39)
心筋心膜疾患4

指定討論者:津田 悦子(国立循環器病研究センター 小児循環器内科)

[P39-1] 急性心筋炎の心電図変化

福岡 将治, 岩屋 悠生, 小林 優, 江口 祥美, 豊村 大亮, 長友 雄作, 鵜池 清, 平田 悠一郎, 永田 弾, 山村 健一郎, 大賀 正一 (九州大学病院 小児科)

Keywords:急性心筋炎, 心電図, 慢性心不全

【背景】心筋炎の診断において12誘導心電図は簡便でありスクリーニング法として広く活用されているが、一般に非特異的変化であり予後因子としての有用性に関する報告は少ない。【目的・方法】2014年から2019年に診断された心筋炎17例を対象とし、臨床所見や予後と心電図変化との関連を検討した。【結果】発症時年齢は4(0-14)歳、男性11例、劇症型心筋炎が15例でECMO導入14例(期間中央値9(3-46)日)、急性期心臓死は3例、慢性期心不全は6例に認めた。致死性心室性不整脈4例及び、高度房室ブロック4例に急性期心臓死は認めず、全例で心機能は正常に回復した。入院時の心電図変化として、低電位(88%)、ST変化(88%)、QTc>440msec(35%)、QRS>100msec(47%)を認めた。ST変化はJ点より0.06秒で計測し0.2mV以上、もしくは0.2mV未満であっても対側性変化を認めるものを陽性とし、脚ブロックは除外した。これらの心電図所見の有無による2群間で、inotrope使用期間、ECMO使用期間、急性期心臓死、慢性心不全の有無を比較し、統計学的有意差は認めなかった。低電位+ST変化を有する群と有さない群とで比較すると、ECMO使用期間中央値9.5日vs 1.5日(p=0.01)、慢性心不全6例vs 0例(p=0.04)と有意差を認めた。 また、低電位+ST変化群ではpeak CM-MB(IU/L)が有意に高値であった(1059.4 vs 238.3, p=0.02)。【結語】急性心筋炎において、入院時心電図に低電位+ST変化を有する患者では心筋障害がより重度であり、慢性期心不全の予後予測因子として有用である可能性が示唆された。