The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

心筋心膜疾患

デジタルオーラル(II)39(P39)
心筋心膜疾患4

指定討論者:津田 悦子(国立循環器病研究センター 小児循環器内科)

[P39-2] パルボウイルスB19に関連した急性心筋炎4症例の検討

細矢 薫子1, 富田 陽一1, 林 真理子1, 青柳 良倫1, 桃井 伸緒1, 若松 大樹2, 黒澤 博之2 (1.福島県立医科大学 医学部 小児科, 2.福島県立医科大学 医学部 心臓血管外科)

Keywords:パルボウイルスB19, 急性心筋炎, 劇症心筋炎

【背景】近年、ParvovirusB19(B19V)が急性心筋炎の原因として注目される一方、健常心筋検体からのB19V検出が報告され、病原的意義や心筋炎発症機序は明らかにはされていない。当施設で2019年3月から10月までに、PCR法によりB19Vが検出された急性心筋炎4症例を経験したので報告する。【症例1】1歳男児。嘔吐で発症し、心拡大、心収縮不良、アシドーシスを認めた。循環作動薬、呼吸補助を行い、3ヶ月間内科的治療を行ったが、心不全増悪のため補助循環(VA-ECMO)を導入後、心移植待機となった。【症例2】9か月女児。不機嫌、嘔吐、顔色不良で発症し、心拡大、心収縮不良を認め心筋炎と診断された。当院へ転院搬送中に心停止し、蘇生に反応なく死亡した。【症例3】福山型筋ジストロフィーの6歳女児。伝染性紅斑罹患後に横紋筋融解症、呼吸不全をきたした。発症から1ヶ月後に全身の筋力や呼吸状態の改善を認めたが、急激な心拡大、心収縮低下、房室弁逆流をきたし心筋炎と診断した。蘇生を要する循環不全に陥ったが、循環作動薬、ACE阻害薬、βブロッカーを導入し、3ヶ月間で心機能は改善した。【症例4】6か月女児。胎児期に同胞2人が伝染性紅斑に罹患していた。嘔吐、活気不良で発症し、心原性ショックに進行し、補助循環(VA-ECMO)導入を要した。循環作動薬を用いながら補助循環から離脱し、ACE阻害薬、βブロッカーを導入し、心機能は改善傾向にある。【結果】症例1、2、3の全血・血清、症例4の全血・心筋検体からB19V-DNAが検出され、生存した3症例では3ヶ月間、全血からの検出が持続した。抗体検査結果からは、初感染パターンと既感染パターンが混在していた。症例1、2では、全血検体においてPCR法でHHV-6陽性であり関与が疑われた。全例で劇症化し、うち1例が死亡、1例が心移植の方針となった。【結語】急性心筋炎においてB19Vは検索されるべき病原体であり、陽性例では劇症化するリスクを考慮する必要がある。