[P41-3] 福山型筋ジストロフィーにおける心機能低下は呼吸器装着より1年早い
Keywords:福山型筋ジストロフィー, 2次性心筋症, 収縮低下
背景福山型筋ジストロフィー(FCMD)は、fukutin遺伝子異常による常染色体劣性遺伝疾患で、2.9/100,000程度の発症率と言われている。進行性の骨格筋筋力低下、重度の知的障害、脳奇形を主体とし、心筋症の合併も知られているが、その臨床的意義についての知見は少ない。目的 FCMDにおける心病変について明らかにする方法当院で管理しているFCMD16例について後方視的に検討した。検討項目は、FCMD診断時年齢、循環器初診時年齢、運動機能低下年齢、呼吸器装着年齢、心臓超音波検査結果、心不全治療内容と予後とした。結果FCMD診断年齢は1.1±0.6歳、循環器初診時年齢は6.9±4.1歳、観察期間12.6±8年だった。運動機能低下時年齢は7±4.3歳、呼吸器は11例(69%)で14.0±3.2歳で装着していた。心臓超音波検査で左室短縮率(FS)≦0.25となった心機能低下症例は13例(81.2%)で、13.0±4.7歳時であった。心機能低下例全例に抗心不全治療薬(β遮断薬12例、ACE-I/ARB12例、重複11例)が投与されていた。初診時FS 0.35±0.04から最終受診時0.24±0.09と心収縮機能は経時的に悪化していたが、拡張能の指標であるE/Eaは、初診時9.6±1.6、最終受診時8.7±1.7と著変なかった。生命予後は、死亡2例、生存12例、不明が2例であった。結論FCMDにおいて、心収縮機能低下は呼吸機能低下による呼吸器装着よりも1年早かった。また、心機能低下は収縮能低下が主で、進行性であったが、拡張能低下は軽度であった。