The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

心筋心膜疾患

デジタルオーラル(II)41(P41)
心筋心膜疾患6

指定討論者:髙橋 啓(東邦大学医療センター 大橋病院病理診断科)

[P41-4] ベッカー型筋ジストロフィーに伴う心合併症の臨床像

原田 元, 石戸 美妃子, 工藤 恵, 佐藤 正規, 森 浩輝, 朝貝 省史, 島田 衣理子, 篠原 徳子, 稲井 慶, 富松 宏文, 杉山 央 (東京女子医科大学 循環器小児科)

Keywords:ベッカー型筋ジストロフィー, 心筋症, 臨床像

【背景】ベッカー型筋ジストロフィーはデュシェンヌ型と比べ筋力低下の発症は遅く、軽度である。心合併症の頻度は70%と高く、呼吸器合併症より予後に影響するとされるが、その臨床経過の報告は少ない。【目的】ベッカー型筋ジストロフィーに伴う心合併症の臨床経過を検討する。【方法】1983年から2020年の間に当院で加療したベッカー型筋ジストロフィー患者14人を対象として診療録を後方視的に検討した。初診時と最終受診時の年齢、NYHA、BNP、心エコー所見(左室内径短縮率; LVSF)、心不全治療薬を比べ、また検討期間中における心機能低下の有無(LVSF<0.25と定義)、不整脈、心不全入院歴、予後を検討した。【結果】初診時の平均年齢は13.7歳、NYHAはI13例(93%)、II1例(7%)、BNPは20.8pg/ml、心エコー所見ではLVSF0.33、心不全治療薬はβ遮断薬0例(0%)、ACE/ARB1例(7%)、利尿剤0例(0%)であった。最終受診時の平均年齢は24.8歳、NYHAはI8例(57%)、II3例(21%)、III3例(21%)、BNP18.3pg/ml、LVSF0.22、心不全治療薬はβ遮断薬8例(57%)、ACE/ARB8例(57%)、利尿剤4例(29%)であった。検討した期間中にNYHAが増悪したのは4例(29%)、心機能低下したのは7例(50%)、心不全入院歴は1例(7%)に認め、不整脈、死亡した症例は認めなった。【結語】ベッカー型筋ジストロフィーでは青年期から成人期にかけて半数で心合併症を発症し、3割でNYHAが低下していた。投薬を含めた循環器管理は必須であると考えられた。