The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

心不全・心移植

デジタルオーラル(II)42(P42)
心不全・心移植

指定討論者:田ノ上 禎久(九州大学医学部 心臓外科)

[P42-4] 一般病院における劇症型心筋炎患者の心移植適応を考慮した適切な転院搬送時期とは?:劇症型心筋炎の2例の経験から

永田 佳敬1, 倉石 建治1, 太田 宇哉1, 西原 栄起1, 長谷川 広樹2 (1.大垣市民病院 小児循環器・新生児科, 2.大垣市民病院 胸部血管外科)

Keywords:劇症型心筋炎, 植込み型人工心臓, 多施設連携

【緒言】劇症型心筋炎(FMC)の救命には早期VA ECMO導入が、心機能の回復しない症例では早期の補助人工心臓(VAD)導入が重要である。小児の心機能回復の予測モデルは無く、一般病院ではECMO後の適切な転院搬送時期の決定、搬送networkの確立が課題である。【症例1】X-10日に胃腸炎症状、X-1日に発熱・活気不良出現、X日当院紹介され他科入院(CK1201IU/L)。X+2日呼吸状態悪化し当科紹介。急性心筋炎(BNP551.5pg/ml CKMB131mg/dL Trpn-I31.2ng/mL LVEF34.7% 非特異的ST変化+)の診断でICU収容も挿管後にCPA、FMCの診断でCentral ECMO導入(48時間(hr)後EF12.4%/ΔEF≦5%/ΔAST-39)。X+5日心移植を視野(EF12% 硬膜下血腫+ EEG異常-)にA病院と相談、同日に転院搬送。心機能回復しX+10日ECMO離脱、X+66日神経学的後遺症なく退院。NYHA1度。鼻咽頭RSV-A型陽性、心筋病理はリンパ球性心筋炎。CPA-ECMO:33分(m)、ECMO-転院:68hr、ECMO:192hr。【症例2】4歳女児。Y-2日に嘔気・腹痛出現、Y日顔色不良、四肢冷感強く当院へ紹介搬送。FMC(CK3963 CKMB335 Trpn-I405.0 LVEF40% 非特異的ST上昇+)の診断でICU入室直後、CPAとなりCentral ECMO導入。直後からA病院と連絡をとり、Y+2日両心室ほぼ無収縮で心移植リスク高く(48hr後EF12.5%/ΔEF+8%/ΔAST-298 peakCK17410 CT脳出血- EEG低活動)転院搬送。同日にBiVAD植込み後、心機能は徐々に回復しY+25日補助循環を離脱したが重度神経学的後遺症あり。現在在宅医療への移行調整中。便中HPeV6陽性、血清・心筋は陰性。CPA-ECMO:57m、ECMO-転院:48hr、ECMO/VAD:600hr。【考察】ECMO後48時間でのEF/ΔEF/ΔASTを用いた成人の意思決定モデルは、本症例への適応は難しかった。転院先施設の迅速な対応で、両者ともECMO合併症無くbridge to decision期間の確保、救命が可能であった。一般病院では早期VAD導入を視野に心移植施設と早期に連携し、ECMO後72hrを目安とした搬送決定が有用ではないだろうか。