[P44-4] 肺血管拡張薬を使用してFontan手術を行うことの是非について
キーワード:フォンタン, 肺血管拡張薬, 予後
【背景】肺血管拡張薬(PVDs)を使用し肺血管抵抗を下げるなどでFontan型手術(F術)が可能となった患者の予後は不明である。【目的】術前にPVDsを使用したF術後患者の予後から、PVDsを使用してF術を行うことの是非を探ること。【対象】術前にPVDsを投与され、2000~2016年に当院でF術を受けた6(男3女3)人。年齢中央値11.5(7.5~30.1)歳、F術時年齢中央値4.1(2.8~18.1)歳、術後観察期間中央値5.8(3.8~11.8)年で、PVDsの内訳はタダラフィル(Tad)1、ボセンタン(Bos)2、Tad とBos2、シルデナフィルからTadに変更1人だった。F術後も全例PVDsを内服していた。【方法】対象を+群とし、術前PVDs投与なく同期間に当院でF術を受け生存中の-群(15人)と後方視的に比較検討した。比較にMann-WhitneyのU検定を用い、P<0.05を有意差ありとした。【結果】各+群/-群として中央値±標準誤差(範囲)で示す。術前は平均肺動脈圧(mPAP):10.8±1.4(5~16)/13.0±1.2(7~23)mmHg、経肺圧較差(TRPG):5±0.9(2~8)/5±0.9(0~15)mmHg、肺血管抵抗係数(RpI):1.4±0.2(0.5~1.9)/1.7±0.1(0.6~2.7)WU・m2、心係数(CI):4.2±0.3(3.2~5.2)/4.2±0.2(2.8~6.1)L/分/m2、単心室拡張末期圧(SVEDP):5.5±0.7(3~8)/7±0.8(4~15)mmHgで、術後(単位同じ)はmPAP:10.0±1.2(9~16)/10.0±0.7(6~16)、TRPG:5±0.5(3~6)/4±0.6(0~10)、RpI:1.0±0.2(0.5~1.6)/0.8±0.2(0.3~3.3)、CI:4.2±0.3(3.8~5.9)/3.9±0.4(2.5~7.8)、SVEDP:6±0.9(4~10)/6±0.7(3~12)、経皮的酸素飽和度:96±0.9(92~98)/94±0.8(85~98)%と、いずれも有意差はなかった。【考察】+群と-群で差はなく、術後の血行動態も悪くはなかったが、観察期間が短く遠隔期合併症の評価はできない。【結論】PVDs使用下でもF術の適応判定は今まで通りで妥当と考える。しかし、さらに症例数と観察期間を増やした検討が必要である。