The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラル(II)46(P46)
術後遠隔期・合併症・発達3

指定討論者:田中 敏克(兵庫県立こども病院 循環器内科)

[P46-4] Fontan candidateにおける鉄欠乏症についての検討

高橋 宜宏, 益田 大夢, 塩川 直宏, 中江 広治, 川村 順平, 上野 健太郎 (鹿児島大学病院 小児科)

Keywords:Fontan, チアノーゼ, 鉄欠乏症

【背景・目的】チアノーゼ性心疾患では、低酸素血症に対して多血による代償が働くが、当科のFontan candidate(FC)を解析したところ、SpO2とHb値に相関は認めなかった(Pearson係数 0.208、p=0.457)。FCでの鉄欠乏症(ID)の合併を疑い、心疾患児におけるIDの合併および背景について検討した。【方法】2018年12月から2019年12月に心臓カテーテル検査を行った7歳未満の心疾患児を対象とした。鉄剤内服もしくは3か月以内の輸血歴のある例は除外した。チアノーゼ群(C群)と非チアノーゼ群(NC群)に分類。C群は、FC群とその他のチアノーゼ性心疾患(OC群)に分類し、比較検討した。FC群はGlenn術後かつFontan術前の所見を用いた。血清フェリチン値で12ng/ml未満(5歳未満)または15ng/ml未満(5~6歳)をIDと診断した。背景として、性別、月齢、-2.5SD以下の低身長・低体重、Hb、SpO2を評価した。【結果】対象は68例で、C群24例(FC群 10例、OC群14例)、NC群44例だった。C群はNC群に比べ、低月齢であり(p=0.029)、Hb値が高く(p<0.001)、IDの合併が多かった(C群:41.7% vs. NC群:11.4%、p=0.004)。またFC群とOC群では、FC群で月齢が高く(p=0.031)、IDの合併が多かった(FC群: 70.0% vs. OC群:21.4%、p=0.024)。有意差はないもののSpO2もFC群で低い傾向にあった(中央値82.5% (四分位79.5-85.25) vs. 85.0%(80.0-91.0)、p=0.265)。多変量解析では、FCとSpO2低値がIDの独立したリスク因子だった(FC:Odds比 11.332、95%信頼区間 1.098-116.940。SpO2:Odds比 0.792、95%信頼区間 0.630-0.996。)。【考察】Fontan candidateは、手術待機のためチアノーゼの期間が長く、待機期間中の体格の成長や肺動静脈瘻の合併により低酸素血症が増強しやすい。低酸素血症の遷延により造血に必要な鉄分が欠乏しやすい状態と考えられる。【結語】Fontan candidateでは鉄欠乏症の合併率が高い。