[P46-5] Fontan手術10年後に肥厚性骨関節症を合併した左心低形成症候群の女児例
キーワード:肥厚性骨関節症, Fontan手術, チアノーゼ
【はじめに】肥厚性骨関節症(HOA)は、ばち指、長管骨の骨新生を伴う骨膜炎、関節炎を3主徴とする骨関節疾患で、多くは二次性に生じ、慢性低酸素血症が病因の一つとされる。近年、先天性心疾患(CHD)の予後改善に伴い、チアノーゼが残存するCHD患者における合併例の報告も散見される。今回、Fontan手術10年後にHOAを合併した女児例を経験したので報告する。【症例】13歳、女児。左心低形成症候群(HLHS)で、日齢9、Norwood手術、5ヶ月時、両方向性Glenn手術、2歳9ヶ月時、extracardiac TCPC手術(fenestrationあり)が施行された。10歳1ヶ月時に重度の三尖弁閉鎖不全に対して人工弁置換術(SJM弁:27mm)が施行され、三尖弁逆流は改善したが、チアノーゼが持続し(SpO2:85 %前後)、側副血管に対するコイル塞栓術も行われていた。また、感染症や心不全悪化に伴う入院歴も度々あった。今回、1ヶ月前より夜間を中心とした関節痛と微熱が出現し、関節痛は膝関節や足関節を中心に左右対称性に認めた。血液検査では、炎症反応の軽度上昇が持続し(CRP:1.0 mg/dl前後、赤沈:20 mm/hr前後)、抗CCP抗体:11.7 U/mlと陽性であったため、当初は若年性特発性関節炎も鑑別に挙げていた。しかし、関節エコーにて高度な異常血流と新生血管の増生を認め、造影MRIでは両膝関節の滑膜肥厚に加えて長管骨に骨膜炎像が確認されたため、HOAと最終診断した。現在NSAIDsで加療中だが、関節症状は軽減し日常生活も可能であるためそのまま経過観察としている。【結語】チアノーゼが残存するCHD患者の関節痛では、HOAも鑑別に挙げ、その診断には関節エコーや造影MRIが有用である。