[P47-4] 総肺静脈還流異常術後漏斗胸による蛋白漏出性胃腸症の1例
Keywords:漏斗胸, 蛋白漏出性胃腸症, 術後後遺症
【背景】先天性心疾患(CHD)術後に漏斗胸を発症する例が時折見られる。これらの患者では、胸郭の変形による心臓への機械的な圧迫と胸骨下の癒着によって血行動態の不安定性を引き起こすことがある。今回我々は、総肺静脈還流異常(TAPVD)術後の漏斗胸が原因と思われる蛋白漏出性胃腸症(PLE)を発症した症例に対しNuss法を行い、PLEの改善が得られたので報告する。【症例】13歳 女児。TAPVD(1A)術後、洞不全症候群(SSS)、PH、超低出生体重児:在胎25週4日820gで出生。TAPVD(1A)診断。体重増加と成熟を待ち、生後3ヶ月時TAPVD根治術施行。術後乳び胸腹水、縦隔炎発症。その後肺静脈狭窄進行なかったが、PH遺残しSSSも発症するも、内科的治療のみで運動制限下で経過観察していた。成長とともに漏斗胸顕在化。12歳時、PLE発症。漏斗胸の心臓圧迫が原因と疑われた。心臓カテーテル検査上、CVP(8)、PAp40、RVp40、RVEDP8、RpI2.36と軽度の肺高血圧はあるもdip and plateau patternは見られず、明らかな拡張障害の所見は認められなかったが、Haller Index=3.5(手術適応3.25以上)で漏斗胸の手術適応はあったため、開胸下でのNuss法施行。同時にDDDペースメーカー植え込みを行った。術後PLE再発無く経過している。【考察とまとめ】開胸CHD術後の漏斗胸は、癒着のために心臓の変位が起きにくいため心臓圧迫症状が容易に出現する可能性がある。特に成長期に漏斗胸が顕在化する場合が多く、心症状が出現する前に画像検査で手術適応の判断をする必要がある。