[P48-1] 右室流出路再建術の術式の違いによる右室への影響を評価する
Keywords:MRI, 弁輪切開術, ラステリ術
【目的】ファロー四徴など右室流出路再建術(RVOTR)の術式の違いによる、術後遠隔期の右室への影響を心臓MRI(CMR)で評価する。【対象と方法】 対象はRVOTRを施行した67 症例 (検査時年齢 27.2±8.7, 15-59歳)、男/女=48/19。術後年数中央値20.3年(1~46年)。疾患はTOF 32例、PA/VSD 24例、DORV/PS 5例、Truncus A 3例。対象を術式により commissurotomy(Com群:n=16), transannular repair(TAP群:n=36), Rastelli (Rastelli群:n=15, Carpenteir-Edward 7, Xenomedica 3, Yamagishi 3, Homograft 1, Hancock 1)の三群に分け、CMRによる右室の拡張末期容積(RVEDVI), 収縮末期容積(RVESVI), 心筋重量(RVmass), 心筋重量容積比(RVmass/V),肺動脈逆流率 (%PRF) 及び右室圧評価として心エコー三尖弁逆流圧較差(TRPG)を三群間で比較検討。統計学的にp<0.05を有意とした。 【結果】TAP群のRVEDVI (146.8±53.2 ml/m2, p=0.098)と%PRF(40.1±13.1%,p<0.001) はいずれもCom群(127.6±41.7ml/m2, 20.9±12.0%)及びRastelli群(99.8±29.1ml/m2, 14.5±11.1%)に比し高値を示した。TRPGはRastelli群(52.7mmHg±25.9)においてCom群(31.8±11.1mmHg, p<0.05)に比し有意に高値を示したが、TAP群(44.2±18.0mmHg, p=0.28)との有意差はなかった。RVmass(g/m2)はTAP群(38.1±12.2)がRastelli群(29.7±7.6)に比し有意に高値(p<0.01)を示すが、RVmass/V(g/mL)はTAP群(0.305±0.08)とRastelli群(0.316±0.08)の間に有意差は認めなかった。【考察】RVOTR術後遠隔期の右室拡大は、弁輪切開(TAP)例でより大きくRastelli術で小さい。弁輪切開は遠隔期に著明な右室拡大をもたらし、一方、弁なし導管症例でも右室拡大は軽度に留まっており人工導管が過度な右室拡大を防ぐ可能性がある。【結論】ある程度のRV圧は許容し弁輪切開を可及的に回避するRVOTRが望ましい。