第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラル(II)48(P48)
術後遠隔期・合併症・発達5

指定討論者:福嶌 教偉(国立循環器病研究センター 移植医療部)

[P48-3] bulging sinus付ePTFE mono-cusp patchを用いたRVOTRの中期遠隔成績

松代 卓也1, 宮地 鑑1, 宮本 隆司1, 岡 徳彦2, 友保 貴博2, 林 秀憲2, 北村 律1, 八鍬 一貴1, 荒記 春奈1, 大西 義彦1, 田所 裕紀1 (1.北里大学 心臓血管外科, 2.群馬県立小児医療センター 心臓血管外科)

キーワード:RVOTR, ePTFE mono cusp patch, PS/R

【目的】先天性心疾患における右室流出路再建(RVOTR)の際ePTFE製mono-cusp patch (MCP)が多く用いられているが,MCPは遠隔期に弁機能不全を来すことが知られている.当科で使用しているbulging sinus付きMCPの中期遠隔成績を検討した.【対象】2005年から2019年までに当院および関連病院である群馬県立小児医療センターにおいてRVOTRにePTFE MCPを用いた合計106例(男児58例,平均月齢12.0ヶ月,中央値9.0ヶ月;月齢3~15歳)を対象とした。術後のPRおよびPSについて,経胸壁心エコーおよび心臓カテーテル検査で評価、PRについてはmoderate-severe以上、PSについては流速4m/s以上を有意とした。MCPの中期遠隔成績を後視法的に検討した. 【結果】平均観察期間は65.4か月(4日~13.9年)で,手術死亡が3例(2.8%),遠隔死亡が1例であった.観察期間中にsevere PRが出現したものが26例(24.5%)で, severe PSが出現した症例が8例(7.5%)であった.13例(12.3%)にreRVOTRを施行した.Kaplan-Meier法を用いたmoderate-severe以上のPR回避率は1年99%, 5年85%,8年72%,10年47%であった.PS回避率については1年100%,5年95,8年86%,10年82%であった.再手術回避率は1年97%, 5年91%,8年84%,10年76%であった.【結語】ePTFE MCPを用いたRVOTR術後の重度PRおよびPSの中期遠隔期の回避率は,満足のいくものであった。当院ではRVOTR術後の比較的若年者のPS/Rに対して生体弁による肺動脈弁置換(PVR)を積極的に行っているが, ePTFE MCPの耐久性はPVRまでの期間を担保することが可能であることが示された.