[P49-1] 心室中隔欠損閉鎖方法による術後刺激伝導系障害の検討:単結節縫合閉鎖VS連続縫合閉鎖
Keywords:術後右脚ブロック, ファロー四徴症, 心室中隔欠損症
【目的】 近年心室中隔欠損症(VSD)、ファロー四徴症(TOF)の根治術の成績は向上し確立されているが、術後刺激伝導系の障害は遠隔期の心室機能に影響することが知られており、避けるべき合併症である。今回我々は中でも比較的発生率の高い右脚ブロック(RBBB)に注目し、その発生率と手術手技による影響を検討した。【方法】 関連施設3施設において、2010年4月から2018年12月の期間に膜様部型VSD閉鎖術またはTOF根治術を行った4歳以下の患児185例を対象とした。VSDパッチ閉鎖方法として単結節縫合法を用いた群(I群)と連続縫合法を用いた群(C群)とに分け術後退院時の心電図(ECG)および術後1年時のECGを比較しRBBBの発生率を比較した。【結果】全185症例のうちTOFが112例、膜様部VSDが73例であった。全185症例の検討では、術後退院時ECGにおいてI群ではC群に比べPQ間隔が有意に長く (131.1 vs. 123.5 msec ; P = 0.04)、QRS幅が有意に長かった (100.0 vs. 89.8 msec; P < 0.01)。RBBBの発生率はI群で優位に高かった (66.2 vs. 44.4%; P = 0.02)。TOF症例における比較では、術後退院時ECGにおいてI群ではC群に比べPQ間隔が有意に長く (133.5 vs. 124.0 msec; P = 0.04)、QRS幅が有意に長かった (106.2 vs. 98.0 msec; P = 0.03) 。 RBBBの発生率はI群で優位に高かった (75.9 vs. 56.8%; P = 0.04)。 術後1年時のECGではI群で脈泊数が有意に早かった(119.3 vs. 109.2 bpm; P < 0.01)。VSD症例における比較では、術後退院時および術後1年時のECGでRBBBの発生率はI群で高い傾向にあったが、統計的有意差は認めなかった (47.8 vs. 28.0%, P = 0.16 and 39.1 vs. 26.0%; P = 0.45)。【結論】 VSD閉鎖方法として、特にファロー四徴症において、連続縫合閉鎖法は単結節縫合閉鎖法に比べ、術後RBBBおよびPQ間隔延長の発生率を下げる可能性があることが示唆された。