The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラル(II)49(P49)
術後遠隔期・合併症・発達6

指定討論者:兒玉 祥彦(福岡市立こども病院)

[P49-3] 非閉塞性腸管虚血(NOMI)を発症した先天性心疾患の2症例

數田 高生1,2, 江原 英治2, 中村 香絵2, 藤野 光洋2, 村上 洋介2, 西垣 恭一3 (1.大阪市立総合医療センター 小児集中治療部, 2.大阪市立総合医療センター 小児循環器内科, 3.大阪市立総合医療センター 小児心臓血管外科)

Keywords:非閉塞性腸管虚血, 先天性心疾患, 腸管切除

【背景】 非閉塞性腸管虚血(NOMI)は発症初期には特異的症状に乏しいが, 進行すると致死的であり, 早期診断が重要である. 今回, 先天性心疾患患者でNOMIを発症した2例を経験した.【症例】 症例1: 日齢11男児, 在胎39週, 出生体重2830g. cAVSD, PAでPGE1CD 0.6ng/kg/min投与中. 日齢5から感染源不明の炎症反応上昇あり, 抗菌薬開始. 日齢10夜間から血便, 腹部膨満あり, 造影CTで腸管壁内気腫, 門脈ガス認め, NOMIと診断, 緊急で腸管切除, 人工肛門造設を施行した. 症例2: 5歳9か月 女児, severe ASで1歳4か月時にmodified Konno手術を施行. その後, 大動脈弁下狭窄の進行あり, 4歳10か月時に大動脈弁下狭窄解除術を行なった. 術後から, Konno patchの右室側への突出による狭窄再増悪とpatchの一部leakによる右心不全の増悪を認めた. PICUで心不全管理を行っていたが, PICU入室4日目に高熱, 腹部膨満, 血圧低下あり. 血便は認めなかったが, 造影CTで腸管気腫と門脈ガスを認め, NOMIと診断. 緊急で人工肛門造設を施行, 後日腸管切除を要した.【考察】 先天性心疾患の心内修復未施行患者や遺残病変の残る患者では, 短絡の存在や心不全による腸管血流の減少があり, NOMIのリスクを有する. しかし, 初期症状は非特異であるため早期診断が難しく, 今回の2症例でも救命は出来たものの腸管切除を要した. 確定診断は血管造影とされるが, 造影CTも診断に有用であり, 腹部症状がある場合は本症も念頭に置き早期に診断をすることが重要である.