デジタルオーラル（II）50（P50）
術後遠隔期・合併症・発達7

[P50-1] 先天性心疾患術後漏斗胸に対するNuss手術を行った3例

^○松岡 良平¹, 宗内 淳¹, 江崎 大起¹, 土井 大人¹, 杉谷 雄一郎¹, 渡邉 まみ江¹, 落合 由恵², 上村 哲郎³ (1.九州病院 小児循環器科, 2.九州病院 心臓血管外科, 3九州病院 小児外科)

Keywords:先天性心疾患, 漏斗胸, 遠隔期

【背景】先天性心疾患術後に漏斗胸を発症する症例が散見され, 胸骨の強固な癒着から手術時は心損傷のリスクが高まる.
【症例1】21歳男性. 新生児期に右肺動脈上行大動脈起始症に対して胸骨正中切開で根治手術実施し術後漏斗胸形態となった. 時折胸部絞扼感や動悸あり. 運動負荷心電図で心室期外収縮4連発あり. 造影CTでHaller CT index＝8.10, 右房右室及び右冠動脈起始部は胸骨直下に位置し狭小化. 心臓カテーテル検査で心係数＝2.7 L/min/m2. 突然死リスクの為, Nuss手術実施. 術中心損傷に備え人工心肺待機下に手術開始. 胸骨・肺葉及び心膜の高度癒着に対して, 左右胸腔鏡観察下に, 吊り上げ器によるギャッジアップを行い剥離. 第3, 5肋間に計2本のChest-wayを挿入した.
【症例2】12歳女児. 新生児期に先天性左横隔膜ヘルニアに対して自己横隔膜による修復術, 両大血右室起始症に対して正中切開で肺動脈絞扼術実施し1歳8か月時に正中切開で根治手術実施. Gore-Texシートにより心膜閉鎖. 術後漏斗胸形態となり, 造影CTでHaller CT index＝7.4, 右冠動脈は胸骨直下に位置し狭小化. 整容性改善の為, Nuss手術実施. 胸骨・肺葉・心膜及び横隔膜の高度癒着に対して, 左右胸腔鏡観察下に, 吊り上げ器によるギャッジアップを行い剥離. 第3, 5肋間に計2本のChest-wayを挿入した.
【症例3】12歳男児. 乳児期より喉頭軟化症による陥没呼吸あり漏斗胸を合併. 心房中隔欠損症に対して4歳時に胸骨正中切開で自己心膜パッチ閉鎖術実施. Gore-Texシートにより心膜閉鎖. 徐々に胸骨陥凹が目立ち, 造影CTでHaller CT index＝4.6. 整容性改善の為, Nuss手術実施. 心嚢と胸骨は広範に癒着し, 左右胸腔鏡観察下に, Chest-wayを1本挿入した.
【考察】3例とも合併症なく手術を実施できた. 想定された強固な癒着に対して, 造影CTを参考に小児外科・心臓外科・麻酔科・小児科を含めたチーム医療での綿密な手術計画が重要と考えた.