[P51-5] 成人先天性心疾患術後患者における慢性腎臓病の評価
Keywords:成人先天性心疾患, 慢性腎臓病, 推定糸球体濾過量
【背景】慢性腎臓病は心血管病のリスクを増加させる疾患の一つである。先天性心疾患術後に成人を迎えた症例の多くは、二心室修復術後であっても様々な心合併症を抱えている。そのため、慢性腎臓病を合併している場合は、さらに心血管病のリスクが増大すると考えられる。【目的】成人先天性心疾患術後患者において、慢性腎臓病の合併がどの程度存在するのかを評価すること。【方法】2015年1月から2019年12月に当院に検査入院した先天性心疾患術後患者143名のうち、18歳以上で最終手術から5年以上を経過した二心室修復症例 21名を対象にした。血清クレアチニン値またはシスタチンCから推定糸球体濾過量を求め、蛋白尿の存在から慢性腎臓病の重症度(グレードG1-G5)を評価した。【結果・考察】年齢の中央値は20歳(18-33歳)で、術後年数は平均19年、ACEi/ARBを内服している症例は4名であった。慢性腎臓病の重症度はG1-A1が16名、G1-A2が1名(5%)、G2-A1が4名(19%)であり、G3以上の症例は認めなかった。G1-A2とG2の症例5例において、4例で中心静脈圧が10mmHg以上であり、5例とも心係数は3L/min/m2未満であった。G2の症例は全例に高尿酸血症を認め、そのうち2例は尿酸低下薬を内服していた。また、G2の症例は経年的に推定糸球体濾過量の低下、中心静脈圧の上昇及び心係数の低下を伴っている傾向があり、静脈うっ滞と低心拍出量が推定糸球体濾過量に影響している可能性が考えられた。【結論】当院での成人先天性心疾患術後患者では、慢性腎臓病はグレードG1-A2が5%、G2が19%存在し、G3以上の症例は認めなかった。グレードG2の症例は高尿酸血症を合併している症例が多かった。推定糸球体濾過量は経年的に悪化している症例が多く、慢性腎臓病の進行予防のためにも早期からの管理が必要であると考える。