The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

術後遠隔期・合併症・発達

デジタルオーラル(II)52(P52)
術後遠隔期・合併症・発達9

指定討論者:富松 宏文(とみまつ小児科循環器クリニック)

[P52-1] 当院でのDKS吻合・Norwood型吻合術後の大動脈形態に関する検討

吉田 賢司1, 星野 健司1, 西岡 真樹子1, 鈴木 詩央1, 百木 恒太1, 太田 健1, 河内 貞貴1, 小川 潔1, 村山 史朗2, 黄 義浩2, 野村 耕司2 (1.埼玉県立小児医療センター 循環器科, 2.埼玉県立小児医療センター 心臓血管外科)

Keywords:Damus-Kaye-Stansel, Norwood, 大動脈狭窄

【目的】当院では2017年の新病院移転後、胎児診断例の増加や母体搬送など周産期医療体制の強化により、単心室循環をはじめとした複合心奇形を有する患者数が飛躍的に増加している。これに伴い、体循環流出路狭窄の懸念がある場合のDamus-Kaye-Stansel(DKS)吻合や左心低形成症候群類縁疾患に対するNorwood型吻合による大動脈形成例が増加してきた。今回大動脈再建を行った中で、術後大動脈狭窄をきたした症例の形態的特徴に関して検討した。
【方法】2017年1月から2019年12月までに当院でDKS吻合・Norwood型吻合術を施行した18例のうち、術後造影CTによる形態的評価および心臓カテーテル検査による血行動態評価をほぼ同時期に行っていた12例に関して、後方視的に検討した(うち左心低形成症候群類縁疾患に対するNorwood型手術7例)。手術時の平均年齢は3か月(1か月-1歳2か月)、平均体重は4.4kg(3.0-9.9kg)であった。
【結果】術後の心臓カテーテル検査において狭窄部前後で40mmHg以上の著明な大動脈内圧較差を認めたのは12例中2例で、いずれもDKS吻合(double-barrel DKS)を行った症例であった。同時期の造影CT(3D)で計測すると形態的にはSTJから吻合部までの距離が有意に短く、再建した大動脈とtransverse archとの角度が急であるという特徴があった。いずれも心機能低下・房室弁逆流悪化に基づく心不全症状を呈しており、外科的介入ののち狭窄は解除された。
【結論】DKS吻合術後に外科的介入を要する大動脈狭窄を呈した症例が存在した。吻合部までの距離が短いなど術中所見に懸念があれば早期に形態評価・血行動態評価を行うべきである。