[P52-3] 大血管転位根治術遠隔期に肺高血圧を認めた2例
キーワード:大血管転位, 肺高血圧, Jatene術
大血管転位(TGA)のMustardまたはSenning術後の肺高血圧(PH)症例の報告は散見されるものの、生後早期に施行した大血管転位根治術(大血管スイッチ術含めた心内修復術:ASO)後のPH合併は稀である。今回、ASO術後遠隔期にPHを認めた症例を経験したので以下提示する。 症例1はTGA II型6歳男児。日齢8日目にASOを施行した。術後1年のカテーテル検査は平均肺動脈圧(mean PAp) 15mmHg、肺血管抵抗(Rp) 1.54U .m2で、その他検査所見含めて異常なかった。術後6年の就学前のカテーテル検査でmean PAp 48mmHg、Rp 8.15U・m2であり、アンブリセンタンとタダラフィルを開始した。肺高血圧治療薬開始1年後にmean PAp 23mmHg、Rp 2.89U・m2となり肺高血圧治療薬の反応は良好であった。症例2はTGA I型 12歳女児。日齢6日目にASOを施行した。ASO術後6年のカテーテル検査ではmean PAp 18mmHg、Rp 1.85U .m2であったが、術後12年の心臓カテーテル検査でmean PAp 20mmHg、Rp 1.35U・m2であった。軽度のPHを認めるものの肺血管抵抗は低く現在無投薬経過観察中である。 TGAに対するASO術後は冠動脈や半月弁逆流、吻合部狭窄、左右末梢性肺動脈狭窄が合併症の主となるが、遠隔期PHの出現についても注意深いフォローが必要と考えられた。これら考察を過去文献や病理所見含めて報告する。