[P52-4] 小児期機械弁の成長に伴う狭窄・再置換時期は予測可能か?
キーワード:機械弁, 再置換, 成長
【背景・目的】小児の機械弁置換術後には, 成長に伴う狭窄により再置換がしばしば必要となる. その時期を体格と弁サイズから予測できる定量的指標があれば, 成人期までの治療戦略を練る上で有用である.【方法】1993-2019年に当院で大動脈弁・房室弁を機械弁置換した小児例において, 体格, 弁サイズ, 成長に伴う再置換の有無を後方視的に検討した. 弁サイズの指標として実質開口面積(cm^2)/体表面積(m^2)指数(GOA/BSA)を使用した.【結果】(1)機械大動脈弁:13例, うち6例は単心室循環. 1例に16mm弁, 3例に17mm弁, 他は19-23mm弁が使用され, フォローアップ期間は中央値4.9年(1.1-20)だった. 成長に伴う再置換はなく, 5歳時に置換された17mm弁で16歳に達した右室性単心室症の例もあった. (2)機械房室弁(単心室):16例. 1例に使用された17mm弁が最小であり, 他は21mm以上の弁が使用された. 中央値4.8年(0.2-21)のフォローアップ期間中に成長に伴う再置換はなかった. (3)機械房室弁(二心室):24例. フォローアップ期間の中央値は5.7年(0.2-24). 16mm弁の6例中2例, 17mm弁の6例中2例の計4例が各1回ずつ再置換を要した. 16-17mm弁の初回置換時年齢は中央値0.7(0.2-4), 再置換となった4例の再置換時年齢は中央値8(5-11)だった. 再置換直前(またはフォローアップ終了時)のGOA/BSAは再置換に至った4例で他より小さい傾向がみられたが差は有意ではなく(1.9±0.3 vs 2.8±1.0, p=0.10), GOA/BSA最適カットオフ値は2.23(感度100% 特異度71%)だった. 置換直後から再置換直前(またはフォローアップ終了時)までのBSA倍率は再置換例で有意に大きく(2.3±0.7 vs 1.5±0.6, p=0.03), BSA倍率の最適カットオフ値は1.73(感度100% 特異度68%)だった.【結語】二心室循環における機械房室弁は16-17mm弁では小学生ころに再置換を要する可能性が相応にある. 将来の狭窄・再置換時期の予測にはGOA/BSAやBSA倍率が有用かもしれない.