The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

Presentation information

デジタルオーラル

成人先天性心疾患

デジタルオーラル(II)53(P53)
成人先天性心疾患1

指定討論者:稲井 慶(東京女子医科大学心臓病センター 循環器小児・成人先天性心疾患科)

[P53-4] 当院小児科および循環器内科でフォロー中の異なる年齢層の成人期Eisenmenger症候群症例の検討

大田 千晴1, 岩澤 伸哉1, 大軒 健彦1, 建部 俊介2, 木村 正人1,3, 六郷 由佳1 (1.東北大学病院 小児科, 2.東北大学病院 循環器内科, 3.宮城県立こども病院 循環器科)

Keywords:Eisenmenger症候群, 肺高血圧, 成人先天性心疾患

【背景】Eisenmenger症候群 (ES)は,主に肺血流増加型の先天性心疾患において,肺動脈に非可逆性の閉塞性病変が起こり,高度肺高血圧を生じた病態である.成人期に達した症例では,合併症や小児科から成人科への移行期医療の問題など多くの課題に直面している.【目的】成人期に達したES症例の現状を明らかにする.【方法】当院循環器内科または小児科に通院中で,成人先天性心疾患レジストリに登録されている成人患者のうち,ESと診断された患者の性別,年齢,原疾患,NYHAスコア,平均肺動脈圧 (mPAP),肺血管抵抗(Rp), 酸素飽和度 (SpO2),合併症,投薬状況について後方視的に検討した.(数値は平均値±標準偏差).【結果】循環器内科通院中のES患者は9名 (男3:女6),年齢は48.6±8.1 (中央値50.5)歳,原疾患はVSD 2名,ASD 2名,AVSD 1名,DORV 2名, TOF 1名,PA/VSD/MAPCA 1名, NYHA:II 8名,III 1名,mPAP 63.1±19.1 mmHg, Rp 24.2±17.6 wood単位, SpO2 78±9.7%,合併症として喀血,脳膿瘍,肺膿瘍,心房細動,突然死などがあった.肺血管拡張薬は6名 (うち3剤4名,1剤2名)に投与されていた.一方,小児科通院中のES患者は7名 (男3:女4),年齢は24.8±4.3 (中央値24.5)歳,原疾患はAVSD/CoA 1名,DORV/MA 1名, TAPVR 1名,PA/VSD/MAPCA 3名,ASD/PAPVR 1名, NYHA:II 6名,III 1名,mPAP 62.3±21.9 mmHg, Rp 7.1±6.6 wood単位, SpO2 90.3±9.3%,合併症として喀血,脳膿瘍,心房頻拍などがあった.肺血管拡張薬は1名 (2剤)に投与されていた.【考察】循環器内科症例は小児科症例に比して,肺血管抵抗が高く,チアノーゼが強く,肺血管拡張薬による介入の頻度も高かった.原疾患では成人例にsimple anatomyのものが多く,小児科症例ではcomplex anatomyのものが多かった.【結論】年齢層の異なるES群の解析により,若年ES群の予後や肺血管拡張薬の至適導入時期などを明らかにできる可能性がある.