[P55-2] 当院における成人先天性心疾患患者に対するICD植込みの現状
Keywords:ICD, ACHD, 適応
【背景】成人先天性心疾患(Adult Congenital Heart Disease;ACHD)患者の死因として20-25%を占めるとされる心臓突然死の予防として,植込み型除細動器(Implantable cardioverter-defiburillator;ICD)の適応がガイドライン上示されている.後天性心疾患を対象としたICD植込みに関するエビデンスは一次予防を含め確立しているが,ACHDにおけるICD植込みに関して,まとまった報告は少ない.【目的】当院におけるACHD患者に対するICD植込みの現状を調査する.【方法】対象は1998年1月~2019年12月迄に当院を受診した18歳以上のACHD患者の内, ICDを有する患者.心疾患名,心内修復術時年齢,ICD植込み時年齢,適応,植込み時左室及び右室駆出率,併せて行った治療,植込み関連合併症や抗不整脈薬使用の有無,適切及び不適切作動の有無につき診療録を用いて後方視的に検討した.【結果】対象は6例(男5女1),年齢中央値29(19-54)歳,基礎心疾患はファロー四徴2例,総肺静脈還流異常,総動脈幹,完全大血管転位,房室中隔欠損が各1例.心内修復術時年齢中央値2.5(0-6)歳,ICD植込み時年齢中央値24.5(15-50)歳.適応は全例class I(二次予防),植込み時左室駆出率中央値61.5(47-71)%,右室駆出率中央値41(24-52)%であった.全例で心臓カテーテル検査及び電気生理学的検査を施行し,3例で心筋焼灼を行った.3例で循環動態改善目的に開心術を施行し,5例で抗不整脈薬を使用していた.植込み関連合併症は認めなかった.経過観察中(観察期間中央値5(2-7)年),死亡例無し,適切作動を3例(Anti Tachycardia Pacing 2例,shock 1例)に認め,不適切作動は認めなかった.【考察】当院のACHD患者に対するICD植込みは,適切作動を半数の症例で認め,植込み適応は妥当と考えられた.ACHD患者に対する一次予防は,class Iの適応であれば有用であったとの報告もある.一次予防を含め,ACHD患者特有のrisk factorを考慮したICD適応を確立する為,今後更なる症例の集積と検討を要すると考える.