第56回日本小児循環器学会総会・学術集会

講演情報

デジタルオーラル

周産期・心疾患合併妊婦

デジタルオーラル(II)57(P57)
周産期・心疾患合併妊婦

指定討論者:金井 貴志(防衛医科大学校 小児科学講座)

[P57-1] パルスオキシメータによる重症先天性心疾患の出生後スクリーニングの標準化プロトコール案

中野 玲二1,2, 豊島 勝昭1,3, 与田 仁志1,4 (1.日本新生児成育医学会診療委員会, 2.静岡県立こども病院 新生児科, 3.神奈川県立こども医療センター 新生児科, 4.東邦大学 新生児学講座)

キーワード:スクリーニング, 重症先天性心疾患, 酸素飽和度

【背景】 重症先天性心疾患 (Critical Congenital Heart Disease以下CCHD)は、新生児期早期に適切な治療を開始する必要のある重篤な疾患である。胎児診断例は増えているが出生後診断例も依然として多い。欧米では、パルスオキシメータによるCCHDのスクリーニング法が近年提案され、その有効性が報告されている。しかし、国内では標準的なスクリーニング法は提案されておらず、パルスオキシメータによるCCHDのスクリーニングは未だ普及しているとは言えない。我々は日本産婦人科医会の協力を得て、全国の分娩施設責任者を対象にアンケート調査を行い、CCHDのパルスオキシメータによるスクリーニング導入の必要性および実行可能性について肯定的な回答が多かったことを報告している。【目的】国内のあらゆる分娩施設で実施可能なスクリーニングのプロトコール案を作成する。【方法】欧米からのスクリーニング法を比較検討し、国内分娩施設の状況を把握したうえで、最も実施可能なプロトコール案を検討した。【プロトコール案】日齢1までに下肢でSpO2値を少なくとも数分間測定して最高値を記録する。最高値が95%未満のときには、CCHDおよび呼吸障害の有無を評価できる医師の診察を受けることが望ましい。【考察】欧米からの報告では右上肢と下肢のSpO2値を測定するプロトコールが多いが、実現可能性および簡易性を考慮して下肢のみの測定でのスクリーニング法を提案した。また、下肢のみの測定であるためCCHD以外にもチアノーゼを起こす呼吸障害症例が同基準に該当する可能性があるが、これらの症例も含めて適切な評価治療ができる医師の診察を受けることは有意義と考えられる。