The 56th Annual Meeting of Japanese Society of Pediatric Cardiology and Cardiac Surgery

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デジタルオーラル

周産期・心疾患合併妊婦

デジタルオーラル(II)57(P57)
周産期・心疾患合併妊婦

指定討論者:金井 貴志(防衛医科大学校 小児科学講座)

[P57-3] 先天性心疾患合併妊娠の周産期管理の問題点

北川 陽介1, 嶋田 淳1, 小山石 隼1, 佐々木 都寛1, 大谷 勝記1, 高橋 徹1, 三浦 文武1, 市瀬 広太2 (1.弘前大学 医学部附属病院 小児科, 2.青森市民病院 小児科)

Keywords:成人先天性心疾患, 妊娠, フォンタン

【背景】成人先天性心疾患(ACHD)患者の増加に伴い、単純なCHD合併妊娠だけでなく、以前は出産の難しかった複雑心奇形合併患者の妊娠・出産に接する機会が増えてきている。【目的】CHD患者の妊娠・出産の全体像を把握し、特に周産期の管理に難渋した症例についてその問題点を検討する。【対象・方法】当科でフォローし、2002~2019年に妊娠したCHD合併症例を後方視的に検討した。【結果】症例は23例(術後18)。中央値で、出産年齢29歳(16-40)、妊娠週数39週(24-42)、出生体重2916g(693-4088)。出産回数は計39回(経腟分娩32、帝王切開7)で、1回9例、2回11例、3回1例、5回1例。疾患はVSD 11(術後7)、CoA/VSD 術後2、BAV未手術1、その他TOF、DCRV、pAVSD、Ebstein、Cor triatriatum、PDA、の術後が各1で、Fontan術後は2(SLV 1、TA 1)。母体死亡1、新生児死亡1。(症例1)31歳SLV、20歳でTCPC、妊娠前NYHA1。妊娠33週帝王切開で出産。児は体重1724g。分娩後心不全の進行あり産後42日目まで入院。(症例2)28歳TA、8歳でTCPC、妊娠前NYHA1、妊娠27週帝王切開で出産。児は体重1050gで、胎児母体間輸血症候群のため重度の貧血を合併。母も緊急腹壁血種除去術を受けた。(症例3)27歳partial AVSD、4歳でMVR。妊娠前のNYHA1。初産婦で、12週時にMSによる心不全が急速に進行し死亡。(症例4)22歳Ebstein +VSD、11ヵ月で三尖弁形成とVSD閉鎖。2:1房室ブロックに伴う徐脈に対し、出産前に一時的ペースメーカーを挿入し経腟分娩にて出産。【結論】妊娠前に血行動態の安定している症例は、概ね周産期も問題なく経過した。しかしFontan症例は妊娠前に安定した状態であっても母児ともに加療を要した。また、妊娠前に遺残病変のある患者で妊娠後急速に心不全が進行した。今後もCHD合併妊娠は増加していくことが予想されるが、特にFontan症例や遺残病変のある患者は、妊娠前はその適応や時期の検討、妊娠後は厳重な周産期管理が必要である。